ひとりの老婆が暮らしている。
老婆は、森のそばでひとり貧しく暮らしている。
誰も老婆を気にかけたりしない。
話す相手もいない孤独な暮らし。
孤独なれど、貧しけれど、老婆の心は温かく、なにより優しさに満ち溢れている。
月曜日には、弱ったスズメに優しさを与える。
火曜日には、痩せこけたネコに温もりを与える。
水曜日には、悲しそうに鳴くキツネの親子に愛を与える。
木曜日には、傷を負ったロバに癒やしを与える。
そして、金曜日には、山からおりてきたクマを受け入れる。
老婆は、動物たちにこう言う。
「あんたの居場所くらい、ここにはあるよ」
孤独なれど、貧しけれど、マーロンおばさんは常に与え続けている。自分の分を減らしても、動物たちと食事を分かち合い、居場所をつくってあげる。
まわりの誰からも気にかけられず、孤独で貧しい暮らしから救われることのなかったマローンおばさんは、それでも慈悲の心を失わず、他者への愛を与え続けている。無償の愛を与え続けている。
居場所を与え続け、愛を与え続けた老婆の人生はやがておわりを迎える。
「あなたの居場所が、ここにはありますよ。マローンおばさん」