ガタガタ書評ブログ

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

ハン・ガン/古川綾子訳「そっと静かに」(クオン)-『菜食主義者』で国際マンブッカー賞をアジア人として初受賞した韓国人作家によるエッセイ集。文筆だけではない才能も持った方なのだという発見があった。

ハン・ガンのエッセイ集「そっと静かに」を読みながら、その文章から感じられる気品というか、落ち着いた雰囲気をずっと味わっていた。それは、ハン・ガンという作家の文章の美しさももちろんだが、それを美しい日本語に翻訳してくれた古川さんの文章の美しさでもあると思う。

180ページほどの薄い本である。とても読みやすい。でも、スイスイと短時間で読めるわけではない。むしろ、その文章をじっくりとしっかりと味わってしまうから、読んでいる時間は300ページ、400ページの長編小説を読むくらいかかる。時間はかかるが、それがまったく苦にならない。それは、冒頭に書いたようにハン・ガンの文章が、古川さんの翻訳が美しく心に響くからだと思う。

1.くちずさむ
2.耳をすます
3.そっと静かに
4.追伸

4つの章で構成されたエッセイは、作家がなにげなく口ずさんでしまう歌の話であり、様々な場所で耳にしたり思い出の中に残る歌の話であり、作家自身が携わった音楽に関する話であり、それぞれに書ききれなかった話である。

作家としてのハン・ガンしか知らなかった読者としては、彼女が音楽にも造詣が深く、自ら作詞・作曲を手がけ歌ったアルバムをリリースしているアーティストでもあるということに驚く。本書の巻末には『ハン・ガン オリジナルアルバム』として、作家による詩篇と自作の朗読、作家が作詞・作曲・歌を担当したオリジナル曲を2曲聞くことができるWebサイトにアクセスするQRコードが掲載されている。

ハン・ガンの声は、彼女が紡ぎ出す物語のように落ち着いていて思わず聞き入ってしまう。彼女が作った曲のメロディも心を落ち着かせる。このレビューも彼女の歌声を聞きながら書いている。なんとなく、自分の文章が落ち着いて美しくなったように思えてしまう。

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