『働く』ということは、『ごはんを食べる』とか『呼吸をする』と同じレベルで当たり前のことだと思ってきた。それが、いつの間にか働くことに疲れて、働いていることが苦痛になってくる。
「なんで働かなくちゃいけないんだろう?」
生活のためには、働いてお金を稼がないといけない。
「働かざるもの食うべからず」という言葉だってあるじゃないか。働かずに生きていこうなんて甘い考えだと、厳しく指摘する人もいるし、自分で自分を叱咤する人もいるだろう。
だけど、ほんのちょっと心に中に芽生えてしまったささやかな疑問は、なかなか納得させられるものではない。働かない人の中には、様々な理由や事情で働かないことを選択している人もいるし、働きたいけど働けない人もいる。
この本を読んでいると、働くことの意味や目的を考えてしまう。「なんで働かなくちゃいけないんだろう?」と疑問を抱えながらも、こうして働く機会を得ている自分がどれほどに恵まれているかも考えてしまう。
お金が目的で働くことも悪くはない。どのような形であれ、目的や目標があり、そこに向かって頑張って働くことはすばらしいことだ。お金よりも自分の成長や経験の蓄積が目的という人もいるだろう。と考えながら、自分は何を目的・目標にして働いているのかと思い返してみた。お金はあるにこしたことはないけれどそれが目的というわけではない。成長や経験も、(この歳になると)仕事から得ようというレベルは過ぎた感じがする。
つらつら考えてみると、働くこと以外の場所を持つことが大事なのかもしれないと思ってきた。自分には仕事しかない、働くことは唯一の生きがいとなってしまうと、その中で壁にぶつかったときに逃げられる場所がなくなってしまう。働くことだけを生きがいにせず、逃げられる場所を持っておくことが大切なんだなと思う。
自分にとっては、それが本の世界であり、ネットやリアルで交流させてもらっている読書仲間とのコミュニティだと思う。この場所をこれからも大事にしていきたい。