みんな、久しぶり!タカラ~ム家のアイドル・ラムよ。しばらく会わなかったけど元気だった?
え? しばらく姿を現さなかったから死んだと思ったって? ちょっとずいぶんじゃないの。私のことはちゃんとタカラ~ムがTwitterで報告してたでしょ。
まぁ、確かにこの歳になるといつお迎えが来ちゃってもおかしくないから、音沙汰がないと誤解されるのも仕方ないかもね。でも安心して、散歩だっていくし、階段だってヒョイヒョイってのぼれちゃうんくらい元気なんだから。このあいだは足を踏み外して三段くらい転げ落ちちゃったけど(実話。あのときはマジで驚いた@飼い主)。
さて、お久しぶりに登場したのには理由があるの。それは、この「ダメ犬ジャックは今日もごきげん」に言いたいことがあるからなのよ。
パトリシア・フィニーの「ダメ犬ジャックは今日もごきげん」は、ストープス家で飼われているクリーム色のラブラドール・レトリーバー犬ジャックの能天気でごきげんでドタバタな日々を描く物語。ジャックは、家族から「あんぽんたん」って呼ばれるくらい『おバカ』な犬なんだけど、自分では褒められてるって勘違いしてる。同じ犬仲間の私から見てもイタいヤツなのよね。
ジャックが飼われているストープス家には、主人のトムさん(ボス)と奥さんのシャーロットさん(ミセス・ボス)に、テリーっていう女の子とピートとマイクっていうふたりの男の子がいて、全部で5人家族なの。ジャックは彼らのことが、大、大、大、だーいすきなのよ。私がタカラ~ムの家族をだーいすきなようにね。
ストープス家には、ジャックの他にネコが3匹いるの、しましまネコのレミー、黒地に白ぶちのメイジー、白地に黒ぶちのマスキー。ジャックはネコたちと仲良くしようと思ってるんだけど、ネコたちはジャックをちょっとバカにしてる。だって「あんぽんたん」なんだものね。ジャックのおバカ行動に入れられるネコたちのツッコミも面白いわよ。
そうそう、大事なことを忘れてたわ。この物語は、ジャックの視点で描かれているの。だから、あなたたち人間が読んで「?」と感じてしまうような表現がアチコチに出てくる。たとえばジャックは人間のことを『サル人』って呼んでるし、ズボンのことは『うしろあしカバー』って呼んでる。ま、私は同じ犬仲間だからジャックの言ってることはだいたいわかるけどね。でも、大丈夫。わからないときは本のうしろの方に「犬語辞典」が用意されてるから。さすが著者はわかってるわよね。
さてさて、この物語の背景がわかってもらえたところで内容の説明に、ってもうこんなに話しちゃってるじゃない!
というわけで残りは端折っちゃうわね。『あんぽんたん』のジャックは、ボスたちを愛し、ボスたちに愛されて毎日を楽しく暮らしてる。大メシ食らいのおバカ犬だけど、なんだかにくめないヤツなの。ドタバタしてミセス・ボスに怒られちゃったりもするけれど、そんなことはおかまいなし、っていうか自分が怒られていることがあまり理解できないみたいなのよね。ま、しょうがないか『あんぽんたん』だから。
そんなおバカなジャックにも恋の季節がやってくる。おとなりにペトラという素敵なレディが引っ越してくるのよ。ジャックはたちまち恋におちる。ペトラもジャックのことはまんざらでもなくて、お互いに意識し合うようになる。いいわね~、あぁ、私も若い頃は近所のオス犬と恋におちたものよ。互いのお尻のにおいを嗅ぎ合ったりしてね。ま、今となっては昔のことだわ。
ペトラに恋してからのジャックは、おバカ行動にさらに拍車がかかる。それは、愛するペトラを思っての振る舞いなんだけど、ストープスさん家族はそれで散々に振り回されちゃう。話は次第に大事になっていくんだけど、それが最後には良い方向に進んでいくんだから、バカとハサミは使い様ってことなのかしらね。
そんなわけで、最後にはジャックの活躍(?)で大きな問題が解決することになるし、ジャックとペトラも幸せになるんだけど、でもね、同じ犬仲間としてちょっと言わせてちょうだい。
この本の主人公ジャックは、あんぽんたんのダメ犬なんだけど誤解しないでね、世の中の犬たちは彼みたいなあんぽんたんばかりじゃないからね。少なくとも私は『あんぽんたん』でも『おバカ』でもないですからね。でも、どんなにあんぽんたんでおバカでも、人間(ジャック風に言えば『サル人』ね)のボスたちはみーんな私たちを愛してくれているのは間違いないわ。そうよね、タカラ~ムさん!
(はいはい、ちゃんと愛してますよ!@飼い主)
こちらのレビューは、書評サイト「本が好き!」で開催中の「2018春のやまねこ祭!」参加レビューとなっています。