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ケン・セント・アンドレほか/安田均編「ミッション:インプポッシブル~トンネルズ&トロールズ・アンソロジー」(書苑新社)-#はじめての海外文学 応援読書会参加レビュー。剣と魔法の世界を舞台に繰り広げられる異世界RPGアンソロジー

 

「ミッション:インプポッシブル」は、〈トンネルズ&トロールズ(T&T)〉の世界を舞台にした7つの物語が収録されているアンソロジーだ。

まず、〈トンネルズ&トロールズ〉というのが何か、を知っておく必要があるかもしれない。T&Tはいわゆる「ロールプレイングゲーム(RPG)」である。RPGというと、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」がパッと思い浮かぶが、T&TはDQやFFの元祖みたいなものだと思う。

 

T&TはDQやFFのようなコンピューターゲームではなくて、様々な設定とイベントが書かれたシナリオにもとづいて、全体の進行を担うゲームマスターと戦士や魔法使い、盗賊といったキャラクターを演じるプレイヤーがゲームを進めていく。イベントが発生したときには、サイコロを振って運命を決める。サイコロの出目が悪ければ冒険の仲間たちが全滅することもある。このようなスタイルのRPGを『テーブルトークRPG』といって、T&Tはその代表格なのである。

ちなみに、私はT&Tはプレイしたことはないが、同じテーブルトークRPGの〈ダンジョンズ&ドラゴンズD&D)〉は、かれこれ四半期以上前の学生時代に友人たちとハマっていた時期がある。新しいシナリオが発売されると東急ハンズに買いに行ったし、原書のシナリオを辞書を引きながら遊んだのも懐かしい。なのに英語力が全然身についていない件については、ここでは眼をつぶることにする。

本書は、T&Tにおける『トロールワールド』を舞台にした短編アンソロジーで、以下の7編が収録されている。

「ミッション:インプポッシブル」エリザベス・ダンフォース/安田均
「カザンで最低の盗賊二人」ケン・セント・アンドレ清松みゆき
「運命の審判」ケン・セント・アンドレ高山浩
「魔術師あるところ道あり」ベア・ピーターズ/安田均
「たったひとつの小さな真実」キャサリン・カー/こあらだまり訳
「オーガー・ポーカー」マーク・オグリーン/安田均
「風の虎」マイケル・A・スタックポール柘植めぐみ

賞金稼ぎの女戦士、訳ありのエルフ、雑多なならず者たちがたむろする酒場兼宿屋。ずる賢い盗賊たちはダンジョンの奥底にあるお宝を求める。互いが互いを騙し合い、ときに手を取り、時に裏切る。すべては剣と魔法が解決する世界で、彼らは果てることのない戦いを繰り広げる。

“はじめて”の海外文学とするのは、かなり微妙なタイプの作品といえるかもしれない。DQやFFといったゲームに慣れ親しみ異世界ゲームファンタジーの世界観に違和感をない世代にとっては、トロールワールドはかなり馴染み深い世界だろうし、物語に登場するキャラクターたちもとっつきやすいだろうから、ふだん小説を読まないような人でも、ゲームの世界からすんなりと読めるかもしれない。

だが、そもそもRPGをプレイしたことがないような読者には、この世界観はかなりハードルが高いと思う。私の場合、T&Tはプレイしたことがなかったけれど、D&Dのプレイ経験があったので、この世界観には特に違和感を感じなかった。それでも、ゲームシステムやシナリオ、キャラクターの違いから少し戸惑った部分もある。

ひとつひとつの物語は、冒険あり恋愛ありとエンタメ小説として面白く読める。なので、ゲームという世界はあまり意識せずに読めばいいのだと思う。

 

トンネルズ & トロールズ 完全版

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