ガタガタ書評ブログ

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【書評】スティーヴン・ローリー/越前敏弥訳「おやすみ、リリー」(ハーパー・コリンズ・ジャパン)-読んでいてこんなに辛かった本は初めてだった。でも、こんなに愛おしくなった本も初めてだった。

おやすみ、リリー

おやすみ、リリー

  • 作者: スティーヴン・ローリー,越前敏弥
  • 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン
  • 発売日: 2017/04/15
  • メディア: 単行本
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《まえがき》このレビューは、ハーバー・コリンズ・ジャパンの読者モニター募集に当選していただいた「おやすみ、リリー」のサンプル本を読んで書いています。「おやすみ、リリー」製品版の発売は、4月15日の予定で、すでにアマゾンその他ネット書店での予約が始まっています。

今回、本書の読者モニターに応募したのは、私自身、子どもの頃からずっと犬を飼ってきたからです。

 

これまでに三匹の犬を飼ってきました。最初に飼ったのは、オスの雑種で名前はコロ。ときどき脱走して、近所の家から靴やサンダルを盗んでくるようなやんちゃな犬でした。二匹目は、知り合いの家で生まれたオスの雑種を譲ってもらったもので、これも名前はコロ。二代目です。図体の大きい犬で、黒に近い焦げ茶の毛並みで、 よく吠える犬でした。

三匹目はビーグルのメスで、名前はラム。今年(2017年)の夏がくると16歳になります。もう相当なおばあちゃんですね。16歳にしては元気で、毎日家の中を駆け回っているし、食欲もまだまだ旺盛です。少し、寝てる時間が長くなってきてるかな。

「おやすみ、リリー」を読みながら、リリーとラムを重ね合わせていました。

リリーとラムはよく似ています。アイスが好きだったり、同じベッドで一緒に寝たりします。晴れた日には散歩を楽しみ、一緒にドライブするのも大好きです。テッドとリリーが交わす会話は、私とラムが交わす会話でもあります。あ、でも、私たちは俳優の好みを語り合うことはないですけどね。

本書は、読んでいて喜怒哀楽が次々と現れてくる作品だと思いました。リリーの愛らしさに笑い、リリーが少しずつ弱っていく姿には涙が流れました。リリーを蝕むタコに言いようのない怒りを覚え、彼女が懸命に闘う姿に胸を打たれました。テッドが、リリーの最期を決断し、彼女の命の灯火がゆっくりと消えていく場面は、胸が苦しくなるほど悲しく、涙が溢れて止まりませんでした。

そんな気持ちで読んでいたからかもしれません。本書を読み終わった直後、私はこの本を読んだことを深く後悔しました。こんなに辛くなる作品は初めてでした。

老犬を、見おくる、ということ

サンプル本の表紙に記された惹句が示すように、この物語は、老いて病に蝕まれたリリーが最期の時を迎えるまでを描いた話です。物語の結末は、わかっているのです。わかっているけれど、心のどこかで奇跡を求めていました。もしかしたら、リリーがタコとの闘いに勝って元気に駆け回るという奇跡がラストに描かれているんじゃないか。そんな場面を期待していました。もちろん、リリーに奇跡は起きませんでした。

読み終えてすぐは読んだことを後悔しましたが、少しずつ時間が経ってみると、この作品が私に与えてくれたものが見えてきました。

この本が、リリーが与えてくれたもの、それは「」です。

この物語の中で、リリーはテッドに溢れるほどの「愛」を与えました。テッドもリリーにたくさんの愛情を注ぎました。リリーの存在がテッドに人生の楽しさを教え、生きることの素晴らしさを教えました。

「おやすみ、リリー」には、犬と暮らすことのすべてが記されています。犬と暮らすことの楽しさ、素晴らしさは言葉には言い尽くせません。犬を飼っていれば、それは肌身で実感できます。テッドがリリーから愛を受け取ったように、私もラムから愛を受け取っているのです。

本書は、読んでいる最中はときにつらい気持ちになるかもしれません。犬や猫を飼っている人なら、リリーを我が家のペットと重ね合わせて、「読まなきゃよかった」と感じることもあるかもしれません。でも、最後まで読んでほしいと思います。読み終わってから、時が経つほどに、この物語が私たちに与えてくれる「愛」の大きさを感じられるはずです。自分の隣に寝そべって、呑気そうにぐーすかとイビキを書いているコイツが、自分に与えてくれている「愛」をより深く感じられるはずです。

今、私はこの本を深く、強く、愛しく、感じています。そんな私に、リリーはこう語りかけてくれるのではないでしょうか。

あなたにも! テッドと! おなじくらい! わたしから! 愛を! あげる!

ありがとう、リリー
おやすみ、リリー

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