ガタガタ書評ブログ

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

【書評】ちきりん「自分の時間を取り戻そう」(ダイヤモンド社)−この本には生産性を向上させるための具体的な方法は書かれていない。この本から読者が知るべきは生産性の概念と重要性である

もうすぐ2016年が終わる。「今年も忙しい1年だった」と年の暮れに1年を振り返って感じている人も多いだろう。

年末、そして年度末。どういうわけか毎年この時期は忙しい。毎日遅くまで残業し、休日出勤を繰り返しても終わりが見えない。逃げ場もなく、考えることさえも疲れ果て、ただただ毎日働くだけの日々。その行く末が、自ら命を絶つという選択肢になってしまうこともある。

 

『過労死』という言葉は、日本にしか存在しない言葉なのだそうだ。過重労働の末に命を落とす企業戦士たちの姿。そんなのシャレにならない。長時間労働が美徳の時代は終わったのだ。

過重労働抑制やワークライフバランスの確保など、ようやく国をあげて「働き方改革」に取り組もうと動き出している。でも、現実はまだまだ厳しい。多くの会社で過重労働状況が改善する気配も見られない。

なぜ、長時間働かなければ仕事が終わらないのか?

その答えのひとつが、「生産性の不足」である。

「生産性の向上」こそが、業務を効率化する上での基本であり、生産性を高めて短時間で成果を出す働き方ができれば、無駄な残業もなくなり過重労働状態も改善されるのである。

ただし実現できれば、だ。

本書には、「生産性向上の必要性」が書かれている。気をつけなければいけないのは、「なぜ生産性を高める必要があるのか」、「生産性を高めることでどんなメリットがあるのか」という話が書かれているのであって、「どうやって生産性を高めるか」という方法論や解答が書かれているわけではないということ。なので、「生産性を高めて過重労働を抑制するための実現手段」を手っ取り早く知りたいと考えている人には、本書は不向きである。

本書がターゲットにしているのは、日々業務におわれて残業が続いている人、子育てや介護に加えて仕事もこなさなければならず日々疲弊しているワーキングマザーの人など、毎日時間におわれ、仕事におわれて必死に働いていることに疲れている人たちだ。与えられた仕事を片付けるには、とにかく長く働くしかないと思考が固まってしまっている人たちだ。

そういう人たちに対して、著者はこれからの社会では高い生産性を実現しなければ限界がくると警鐘を鳴らす。生産性の低い人は、これからの社会では生きていけなくなると警告する。高い生産性で効率よく仕事を片付け、空いた時間を自分のため家族のために使う。そういうあたりまえの生活

「生産性の重要さはわかったけど、ではどうやって生産性を向上させたらいいのか? 知りたいのはその答えだ」

本書を読み終えた読者は、次のそう思うだろう。いったいどうやって生産性をあげるのか。その方法はどこに書いてあるのか。

生産性を向上させるための具体的な方法は、仕事の内容や職場環境、個人の能力など様々な要素によって変化する。だから、これという施策はない。それは、自分の頭で考えることだ。

そういえば、著者の過去作にそういう内容の著作があったような気がするなぁ。

自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術

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自分のアタマで考えよう

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