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ガタガタ書評ブログ

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

【書評】ボフミル・フラバル「厳重に監視された列車」(松籟社)-ナチス・ドイツ占領下のチェコ。とある駅を舞台に描かれる人間の本質

映画 書評 海外文学

ボフミル・フラバルという作家の作品を読むのは、本書「厳重に監視された列車」が初めてだ。

厳重に監視された列車 (フラバル・コレクション)

厳重に監視された列車 (フラバル・コレクション)

 

ボフミル・フラバルがどういう作家であるかは、本書の解説をはじめ、様々な作品の解説その他に書かれているので、このレビューで紹介する必要はないと思う。1914年生まれのチェコの作家であり(1997年没)、ミラン・クンデラなどと共にチェコを代表する作家である。

 

本書「厳重に監視された列車」は、とある駅が舞台。そこに勤務する見習員のミロシュ・フルマを主人公とする中編小説である。駅には、駅長がいて、操車係のフビチカがいる。フビチカは、こともあろうに駅長事務室に女を連れ込むような男だ。

初体験に失敗して自殺を図ったミロシュは、身体の傷が癒えて職場に戻る。第二次世界大戦ナチスの占領下にあるチェコを舞台にして、童貞喪失の失敗から自殺未遂をおかした若き鉄道員と、女性関係に奔放な先輩操車係たちが繰り広げる物語は人間の本質的な面を描き出していて、抑圧された時代背景と人間性との対比が面白さであり、怖さでもある。

本作は、1966年に映画化されていて、翌1967年第40回米アカデミー賞外国語映画賞を受賞している。本書の解説によれば、映画と原作の内容はかなり違っているようで、Yahoo!映画に掲載されている「厳重に監視された列車」の映画紹介には、

第二次大戦中のナチス・ドイツ占領下のチェコを舞台に、父の跡を継ぎ新米駅員となった青年が悲願の童貞喪失に向け奮闘するユーモラスな姿と、対照的に迫り来る戦争の影を鮮烈に描き出す。

とある。確かに、本書の内容が“ユーモラス”かと言われると、ちょっと違うかなという気がするが、映画としてはエンタメ部分も重視しているのかもしれない。

なお、映画「厳重に監視された列車」については、DVDも発売されていたが現在は入手が困難な状況。レンタルでも置いている店は少ないようでネット上では見つけられなかった。ただ、日本公開バージョンではない英語字幕版「CLOSELY WATCHED TRAINS」であれば、ネットで動画検索すると見つけられるかもしれない。本レビューでは、予告編動画だけリンクしておく。


Closely Watched Trains - Trailer