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ガタガタ書評ブログ

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

【書評】ジョージ・ソルト「ラーメンの語られざる歴史 世界的なラーメンブームは日本の政治危機から生まれた」(国書刊行会)-たかがラーメン、されどラーメン。日本の国民食となったラーメンの歴史を知るための1冊

書評

ラーメン、好きですか?

ラーメンの語られざる歴史

ラーメンの語られざる歴史

 

日本中に、いわゆる「ラーメン専門店」は何軒くらいあるのだろう。都道府県別の様々なデータランキングをまとめているサイト「都道府県別統計とランキングで見る県民性」には、2013年の「ラーメン店舗数データ」が掲載されていて、それによると、全国で35,330軒のラーメン店があるらしい。

ラーメン店舗数 [ 2013年第一位 山形県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]

 

ジョージ・ソルト「ラーメンの語られざる歴史」は、ニューヨーク大学歴史学准教授である著者が、日本の国民食であるラーメンがどのように生まれ、どのように発展し、いかにして日本人のソウルフードとなっていったのか。そして、日本のラーメンが世界のRAMENになっていく背景を、歴史的事実を背景にしてまとめたものである。

本書が、数多ある「ラーメン本」と違うのは、ラーメンをグルメ的な視点で語るのではなく、近代日本の歴史の流れの中でラーメンがどのようなポジションを得てきたのかを、中国・韓国を植民地化していた時代、戦争の時代、敗戦後の食糧難の時代を踏まえつつ、政治的な背景などから解き明かしていく点にある。

1900年代初頭から戦中まで、「支那そば」と呼ばれたラーメンは、そばやうどんといった日本の麺食と異なり、動物性の油を多用したスタミナ食としての位置づけがあり、地方から東京に出てきた労働者たちのエネルギー源となっていた。戦争を経て敗戦国となった日本は深刻な食糧難となり、そこにアメリカから大量の小麦粉が提供されたことで、麺料理は国民の空腹を満たすかっこうの料理となり、中でもラーメンは栄養面でも貴重な食事となっていく。

やがて、日本が経済的に発展していくと、ラーメンは空腹を満たし栄養を取得するための食事から、様々な創意工夫をこらし、その土地ならでは、その店ならではの特色とこだわりをもった嗜好品に近い食事へと変化し発展していく。その結果が、現在のラーメンブームであり、全国およそ35,000軒のラーメン店がしのぎを削る状況を生み出している。

私は、ラーメンは好きな方だ。といっても、月に数回ラーメン店に足を運ぶ程度なので、レベルとしては一般的だと思う。行列に並ぶのは嫌いなので、たった1杯のラーメンのために長時間行列することはないし、つけめんは苦手だ。書いていて、自分が本当に“ラーメン好き”といえるのか疑問になってきた。

ラーメンを食べるために、本書に書かれているようなアカデミックな面を知る必要性はない。そもそも、ラーメンにかぎらず何かを食べるということに対して、生真面目な知識や薀蓄を知っておくことは、ある意味では余計なことではないかと思っている。それでも、このような知識を知るということは楽しい。食べるときは無意識に、一心不乱にラーメンに向かい合い、食べ終わってからゆっくりとラーメンの歴史的背景を思い起こし、今食べたラーメンの余韻を楽しむ。そういう楽しみ方があってもよさそうだ。ウザいかもしれないけど(笑)。