日本即席食品工業協会の推計によると、日本では年間におよそ54億食の即席めん(インスタントラーメン)が生産されている(2014年)。国民ひとりあたりの年間に40食以上の即席めんを食べていることになるらしい。
即席めんを生まれてこの方一度も食べたことがないという人は、ほとんどいないだろう。即席めんは、今や私たちの生活に当たり前に存在するものである。
本書「日本懐かし即席めん大全」は、1958年に日清食品創業者の安藤百福によって発明された世界初のインスタントラーメン(チキンラーメン)にはじまり、現在に至るまでの歴史の中に現れては消えていった様々な即席めんを紹介する1冊だ。
紹介されている即席めんの中には、本書のタイトルにもあるように思わず「懐かしいぃ~」と声を上げてしまう商品も多数含まれている。
例えばインスタント焼きそば。現在の主流はカップタイプのインスタント焼きそばで、お湯を注いで3分待ち、お湯を捨ててソースを混ぜるタイプの商品になっているが、私が子供の頃は袋麺タイプでフライパンに少しお湯を沸かして麺を戻し、水分を飛ばしながら炒めあげるように調理するスタイルだった。
その他、小さい即席めんが6個入っていて、できあがるラーメンの量を調整できる「ちびろく」とか、お湯を入れて1分でできあがる「クイックワン」、高級インスタントラーメンのはしりだった「楊夫人(マダムヤン)」に「中華三昧」などなど、「そんな即席めんあったなぁ~」と懐かしくなる商品が多数紹介されている。
著者の山本利夫さんは、無類の即席めん好きで、子供の頃から即席めんを食べ続けてきた。好きが講じてまとめあげてしまったのが、本書なのである。
この書評を書いているのは日曜日午前10時。今日のお昼は買い置きのカップラーメンにしようかな、と考えているところである。