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ガタガタ書評ブログ

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

【書評】中島さなえ「わるいうさぎ」(双葉社)−実験施設を逃げ出した《わるいうさぎ》と彼が出会う動物たちのちょっとダークなお話

中島さなえの小説を読むのは久しぶりだった。

わるいうさぎ

わるいうさぎ

 
わるいうさぎ

わるいうさぎ

 

「わるいうさぎ」は、実験施設から逃げ出したコードナンバー「RB203」、《わるいうさぎ》と呼ばれるうさぎと彼を取り巻く動物たちを主人公にした6つの短編で構成される連作短編集である。

わるいうさぎが主人公の「わるいうさぎ」
わるいうさぎが飛び込んだ牛舎で出会ったねずみが主人公の「イタいねずみ」
施設から逃げ出したわるいうさぎを最初に受け入れた《野狸放団》のたぬきが主人公の「おもいたぬき」
わるいうさぎが飛び込んだ牛舎の持ち主ノモさんの飼い犬リクが主人公の「ほしいいぬ」
わるいうさぎとともに施設にいたうさぎが主人公の「あまいうさぎ」
そして、地上の動物たちを空からみつめる鳥が主人公の「みたいとり」

擬人化された動物たちを主人公とする物語は、ファンタジー小説として、どこかほのぼのとした雰囲気を醸すものだというイメージがあるが、本書はそんな甘い小説ではない。

《わるいうさぎ》は、施設で実験動物として扱われてきた経緯があり、どこか世の中に対して構えているところがある。一匹狼ならぬ一匹うさぎとして、誰にも依存することなく、誰にも指図されない。それでいて情に厚いところもあったりする。実にハードボイルドで、ダークな物語がそこにある。

著者には、どうしても父・中島らもの存在がつきまとう。作品にも、どことなく中島らもの世界観に似たにおいがある。それはしかし、ネガティブなものではない。中島らも的世界は、他にはマネのできない独自の世界観であり、中島らもにしか描ききれない世界だ。彼が急逝して以降、あの独特な世界観を有する小説を読むことはできなくなった。だが、彼の娘である中島さなえが作家としてデビューし、作品を発表するようになって、彼女が、らも的世界を正しく再生する書き手となった。その上で、彼女独自の世界観も表現するようになっていけば、中島さなえという作家は将来的に中島らもを凌駕する作家になると、私は確信している。そのために、もう少し多くの小説を書いて欲しい。そして、私たち読者をもっと楽しませて欲しいと希望するのである。

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