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なんだかアメリカらしい小説だなぁ、という感想です-ドルトン・フュアリー「極秘偵察」

元アメリカ陸軍特殊部隊デルタ・フォース指揮官という経歴をもつ著者による戦場アクション冒険小説。いや、もう、なんというか、その、実にアメリカらしい小説である。

極秘偵察

極秘偵察

 
極秘偵察 (ハヤカワ文庫NV)

極秘偵察 (ハヤカワ文庫NV)

 

本書の主人公は、著者と同じ元デルタ・フォースの一員だったという設定のコルト・レイナー。彼は、対アルカイダ作戦行動中に、自らの判断ミスから盟友であるT・J以下のメンバーを犠牲にし、自らも重傷を負ってしまう。それから3年後、コルト傷は癒えたが、酒に溺れるようになり、かつてのエリート軍人としての姿は見る影もなくなっていた。

そんなコルトのもとを、デルタ・フォース司令官ジェレミー・ウェバーが訪れる。ウェバーは、コルトの判断ミスで命を落としたと思われていたT・Jたちが、パキスタンで監禁されているという情報を入手したと告げる。そして、コルトに対して、T・Jたちの生存が事実であることを確認してくるように命じる。

9.11テロ以降、アメリカは“テロとの戦い”を旗印に、アフガニスタンでのテロ掃討作戦を展開してきた。その戦いは、いまだ終わることなく続いている。敵対するテロ集団は、アルカイダタリバン、そしてイスラム国と変わっていても、中東地域のテロの火種は、拡大こそしているが一向に終息する気配はない。

本書では、アルカイダに囚われたアメリカ軍兵士たちの救出を巡る極秘指令と救出作戦が描かれている。戦闘シーンを筆頭に、戦場を知り尽くした元デルタ・フォース所属という著者の経歴が活かされたリアルな描写が続き、この手のミリタリー冒険小説が好きな人にはたまらない作品なのだと思う。

今回は、「本が好き!」で行われている「勝手にコラボ企画2:ハヤカワ文庫の100冊 2015秋」で対象となっている中から、本書をあえて選んでみたのだが、読んでみたものの、最後まで楽しむことができなかった。やはり、日頃得意としていないジャンルの小説を読むのは難しいものである。そういう意味では、不得意ジャンルでありながら、実際に読んですっかり心を奪われてしまった「暗殺者グレイマン」は、抜群の物語性を有していたのだなと、改めて感じているところだ。

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