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ジジイをナメると痛い目見るぜ!-ダニエル・フリードマン「もう年はとれない」

今年(2015年)87歳になる偉大なる先達たちは、1928年(昭和3年)にこの世に生を受けている。はるか遠い過去だけに、その時代のことなんてまったく想像もつかない。ちなみに、主な出来事としては、

なんてことがあったらしい。う~ん、知っているような知らないような。また、1928年生まれの著名人には、

などなどいらっしゃるそうです。

なんでこんな話をしているかというと、ダニエル・フリードマン「もう年はとれない」の主人公バック・シャッツが87歳なのである。

もう年はとれない (創元推理文庫)

もう年はとれない (創元推理文庫)

 

元殺人課刑事であったバック・シャッツは、軍隊時代の友人ジム・ウォレスが死の間際に会いたがっていると聞き、渋々と彼が入院している病院を訪れる。そこでジムから、かつて収容所でバックと因縁のあったナチスの将校ハインリヒ・ジーグラーが生きていて、ヤツがナチスの財宝を隠し持っていると聞かされる。そこから、バックはナチスの金塊を巡るいざこざに巻き込まれることになる。

87歳のバック・シャッツは、その年齢ゆえに身体は相当にガタが来ている。ちょっとばかし、物覚えも悪くなっていて、記憶帳を持ち歩いていたりする。

身体は錆び付いているが、頑固さとへらず口は衰えを知らない。禁煙の場所だろうとお構いなしにラッキーストライクを吸い、誰かれ構わず悪態をつきまくる。

年をとって、身体の自由が効かなくなって、それでも頑固さとへらず口だけを吐き出すようなジジイは、リアルの世界から完全に嫌われ者だろう。ところが、これがハードボイルドな世界になると、タフガイとして魅力的なキャラクターに変身するから不思議だ。バック・シャッツというジジイキャラが評価されるのも、その存在が魅力的であるからに他ならない。

本書では、87歳の老体にむち打ち、事件に巻き込まれ、ラストには命の危機にも直面することになる。自慢の357マグナムにものを言わせ、力づくで事件に片をつけたバック。無事に生き延びた彼が次に直面するのはどんなトラブルなのか。88歳になってもバック・シャッツのタフガイ人生に安息はなさそうだ。