ガタガタ書評ブログ

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SFというフィールドで縦横無尽のエンタメ三昧!エリスンの実力を魅せつける短編集-ハーラン・エリスン「世界の中心で愛を叫んだけもの」

言わずと知れた“セカチュー”である。

熊五郎「ハイハイ、あの黄色っぽくて『ピカーッ!』って攻撃するヤツですね」
ご隠居「それは『ピカチュウ』だよ、熊さん」

そうではなくて、“セカチュー”なのだ。

熊五郎「ってことは、あの…」
ご隠居「ウンウン」
熊五郎「女の子が白血病で…」
ご隠居「う、ウン?」
熊五郎「その娘が好きな男の子が、病院から女の子を連れ出しちゃって…」
ご隠居「あ、いや…(それじゃなくて…)」
熊五郎「空港の待合で女の子の病気が悪化しちゃう。追い詰められた男の子が助けを求めて叫ぶ!」
ご隠居「はぁ…」
熊五郎「『僕は死にましぇ~ん!』」
ご隠居「って、オイオイ、話が違ってるじゃないか!」
熊五郎「違ってました?」
ご隠居「熊さんが言ってる『セカチュー』は、片山恭一の『世界の中心で、愛をさけぶ』じゃ。しかも、そのセリフはその『セカチュー』のセリフじゃなくて、『101回目のプロポーズ』の武田鉄矢のセリフじゃ!」

何やら混乱してきたので整理しよう。

今回レビューするのは、セカチューはセカチューでも、ハーラン・エリスンの短編集「世界の中心で愛を叫んだけもの」の方である。

熊五郎「へぇ~、他にも『セカチュー』ってのがあったんですね。あれですが、今なにかと話題のパクリですか?」
ご隠居エリスンのセカチューが元じゃよ。むしろ、あっちのセカチューがパクリだな」

……エート、ご隠居がパクリって言い切っちゃいましたけど、ここは穏便に“リスペクト”とかいうことで収めておくことにしよう。

さて、エリスン世界の中心で愛を叫んだけもの」である。これは、SFに分類される短編集だ。

収録されている作品は、すべてSFのフィールドを舞台にして描かれているが、ひとつひとつの短編は、アクション、ミステリー、ハードボイルド、ラブストーリーと多岐にわたっている。

著者のハーラン・エリスンは、テレビドラマの脚本も手掛けるなど、エンターテイメントの世界で活躍した人物だ。SF小説の世界でも、ヒューゴー賞、ネヴュラ賞、ローカス賞を受賞していて、名実ともに最高のSF作家である。

それだけのSF作家でありながら、その作品はほとんど日本で翻訳出版されていない。エリスン名義の著作は、本書と、エリスンが編纂に携わったアンソロジー「危険なヴィジョン1」の2冊だけで、「危険なヴィジョン」に至っては第1巻しか翻訳出版されていない。あとは、いくつかの短編がアンソロジー集の1篇として収録されている場合がある。

 「『悔い改めよ、ハーレクイン!』とチクタクマンはいった」(「20世紀SF〈3〉」河出文庫
 「キャットマン」(「究極のSF 13の解答」創元SF文庫)

他にもエリスンの作品が収録されたアンソロジーはあるようだが、現役で入手可能なものがこの2冊くらいかもしれない。

もともと寡作な作家で、かつ短編が多いので、作品集としてまとまったものが少ないのも、日本で翻訳出版が進んでいない要因なのだろう。そういう意味でも、本書「世界の中心で愛を叫んだけもの」は、まとまった形でエリスンの珠玉の作品を読むことができる唯一の短編集なのである。

それ以外のエリスン作品を読もうと思ったら、「SFマガジン」のバックナンバーを図書館や古書店で丹念に探すしかないだろう。それは、なかなかに根気のいる取り組みである。でも、それだけの苦労をしても読んでみたいという気にさせる力がハーラン・エリスンの作品には存在していると思うのである。

熊五郎「最後は固くまとめてきましたね」
ご隠居「まぁ、無難なまとめ方だな」

……ほっといてくれ(笑)

20世紀SF〈3〉1960年代・砂の檻 (河出文庫)

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究極のSF―13の解答 (創元SF文庫)

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世界の中心で、愛をさけぶ 小学館文庫

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世界の中心で、愛をさけぶ

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