ガタガタ書評ブログ

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阪急というチームはよく知らないけれど、全力のフォームで投げるピッチャーはなんとなく印象に残っている−鎮勝也「伝説の剛速球投手 君は山口高志を見たか」

オリックス・バファローズ、というプロ野球球団がある。
2015年シーズンは、開幕から約3週間が経過した4/20時点で、パ・リーグのダントツ最下位を突っ走っている。

このオリックス・バファローズという球団、2004年に近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブが合併してできた球団であり、さらにそれ以前は、阪急ブレーブスという球団であった。本書は、その阪急ブレーブスで活躍した投手の話だ。

君は山口高志を見たか 伝説の剛速球投手

君は山口高志を見たか 伝説の剛速球投手

 

本書の主役である投手・山口高志は、25歳でプロ野球選手となり、8年間選手として活躍した後引退してコーチやスカウトとして働いている。プロ野球選手としての寿命はかなり短い。

なのに、こうして1冊のノンフィクションとして取り上げられるほど、山口高志というピッチャーは鮮烈な印象をプロ野球ファン、野球関係者に残している。その理由は、本書によって明らかとなる。

本書タイトルにもあるように、山口高志というピッチャーの代名詞は「剛速球」だ。低い身長ながら身体全体を目一杯使って投げ込むスタイル。改めて動画で見ると、身体全体を使ったダイナミックな投球フォームだ。


yamaguchitakashi3.mov - YouTube

山口のボールは速かった。大学生時代、社会人時代、そしてプロ野球時代。年齢とともに球の威力は衰えていったのだろうが、どの時代においても対戦した相手、一緒にプレイしたチームメイトは、誰も口をそろえて「山口の球は、誰よりも速い」と賞賛する。

新旧の名だたる速球投手たち、江夏、江川、松坂、ダルビッシュ、田中、大谷といった選手と比べても、山口の方がずっと速かったという話もある。そう考えると、山口高志という投手がいかにすごい選手だったかがわかるのではないか。

現役プロ選手としては短命に終わった山口だが、その後スカウトやコーチとして多くの選手を発掘し、成長させてきた。彼の選手を見る確かな目と、若い選手を育てる指導力は、企業のマネジメント職者が学ぶべき資質だと思う。

「名選手が必ずしも名指導者とはならない」と一般的に言われている。その点からすると、山口高志は、必ずしも「名選手」であったわけではないと思う。だけど、指導者としては卓越していたということなのだろう。

でも、山口高志は「名選手」ではなかったのだろうか?
王、長嶋、金田といった記録として素晴らしいものを残した選手を名選手とするならば、山口は名選手ではないだろう。だが、プロ野球ファンの心に強烈な印象を残し、記憶にとどめられた選手を名選手と呼ぶならば、山口高志はまぎれもない名選手だ。そして、山口高志と同等に語られるような選手は、これからも現れないように思う。