今の若い人たちは、岡崎京子というマンガ家を知っているだろうか。
桜沢エリカ、中尊寺ゆつこ、原律子と共に、新世代の女性マンガ家として脚光を浴び、「リバースエッジ」や「pink」、「ヘルタースケルター」といった作品を生み出した岡崎京子。彼女は、絶頂期から円熟期へと差し掛かっていた1996年5月に自宅近くで交通事故に遭った。一命は取り留めたものの、その代償は大きく、事故から19年が経過した現在も彼女が再び表舞台に戻れる可能性は乏しい。
本書は、2015.01.24~3.31の期間に世田谷文学館の企画展として開催された岡崎京子展「岡崎京子 戦場のガールズライフ」の公式カタログである。
本書には、岡崎京子が描いてきた作品とともに、“岡崎京子”という時代の先端を走っていた女性の足跡が記されている。多くの著名人が、岡崎京子のためにコメントを寄せ、彼女に対する想いが込められた文章を寄せている。よしもとばなな、加藤賢崇、宮沢章夫、小沢健二。岡崎京子と同じ時代に活躍した桜沢エリカは、岡崎京子や桜沢エリカの作品に触れ、憧れてきた安野モヨコ、しまおまほと、岡崎京子について語り合う。
この公式カタログだけでも、十分に岡崎京子の世界に浸ることはできる。だが、やはり世田谷文学館に足を運んで実際の企画展を観た方がいい。私は、企画展がはじまった当初から行きたくてたまらなかったのだが、なかなか機会を作れずに時間ばかりが過ぎてしまった。そして、もうすぐ企画展が終わってしまうというギリギリ最後の土曜日(3/28)に、世田谷文学館を訪ねることができた。
京王線の芦花公園駅からの道すがら、ところどころに貼られた企画展のポスター。文学館の正面入口を入ってすぐにある岡崎京子の著作や公式カタログ、グッズを販売するコーナー。チケットを購入(大人800円)し、階段をあがると、そこに岡崎京子がいた。
彼女が描いたイラスト、彼女は書き記した文章、彼女が発した言葉。数多くの作品が、そこに展示され、観る人の注目を集めている。
企画展を訪れている人たちの世代も幅広かった。私と同世代で、岡崎京子をリアルに体験してきた世代の人もいれば、彼女が事故で表舞台に出てこなくなって以降に岡崎京子作品に触れたのであろう若い世代の人もいる。かと思えば、岡崎京子を娘といってもいいくらいの先輩世代の方々も見かけた。若い世代は、もしかすると2012年に公開された映画「ヘルタースケルター」で岡崎京子を知ったのかもしれない。先輩世代は、ちょっと想像がつかないが。
世田谷文学館での岡崎京子展は、3/31までの開催である(ただし、3/30(月)は休館日のため入館不可)。ギリギリになってしまったけれど、東京近郊に住む岡崎京子ファンで、まだ展覧会を未見の方がいたら是非訪れてほしい。「岡崎京子はよく知らない」という方も、ちょっとでも興味が湧いたなら、そして、もし時間に余裕があるのなら、展覧会を訪れてみてはいかがだろうか。
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