ガタガタ書評ブログ

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家族、それは一番近くにいて一番わかってくれるのに、一番わかってあげられない存在−辻村深月「家族シアター」

あまりに近すぎて、逆に遠くなってしまうのが家族というもの。毎日、空気のように接しているから、特に意識なんてしていないけれど、実は一番敏感な存在なのも家族。

家族シアター

家族シアター

 
家族シアター

家族シアター

 

辻村深月「家族シアター」は、家族にまつわる7つのストーリーで構成される短篇集。姉と妹、母と娘、父と息子、姉と弟、祖父と孫。肉親同士だからこそ、時にあけすけに、時に気を使い、時に傷つけ、時に傷つけられる関係。どんなに相手が嫌いでも、どんなに相手が疎ましくても、血を分けた家族の情は深く、切っても切り離すことなどできない。

私は兄弟姉妹がいないし、すでに父親も他界しているから、残された家族は母親だけだ。それだけに、互いが互いに依存する強さは相当なものがある。傍から見れば、そんな母子の関係は、「いつまでも子離れできない親」であり「いつまでも親離れできない子供」となるのだろう。

本書では、家族同士が少なからず反発しあう様子が描かれる。地味でおとなしく勉強ばかりでオタク趣味な姉とは違う自分を作りたくて明るく社交的に振る舞う妹。ヴィジュアル系バンドにハマっている姉とアイドルにハマっている弟。キャバ嬢あがりの世間知らずな母親は、真面目で勉強が得意な娘との距離感が掴めないながらも、精一杯に子供に向きあおうとしているし、融通の効かない文学研究者の父は、その特異な思想で家族から白い目で見られながらも、息子の思い出のために動き出す。

きっと、誰でも家族をウザいと思ったことがあるはずだ。反抗期や思春期の複雑な時期に、父や母に対してお決まりのように歯向かってみたことがあるはずだ。出来のいい兄弟と自分を比べられて凹んだり、相手を憎んだりしたことがあるはずだ。でも、そんなあなたを家族はいつでも受け入れてくれて、誰よりもあなたを理解し、誰よりもあなたを愛していた。家族とは、一番身近で一番愛すべき存在なのだということを改めて深く胸に刻んでおきたい。