ガタガタ書評ブログ

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ミステリーとしては凡庸。ギミックだらけのパズル小説−長江俊和「出版禁止」

この本、売れてるらしい。そうなると気になるのがミーハーの心情ってもの。でも、自分で買ってまだ読みたいかとなれば、そこまででもないわけで、今回は図書館で借りてみた。

出版禁止

出版禁止

 

ストーリーを簡単に。

構成は、本書の著者である長江俊和が出版禁止となったルポルタージュの原稿を入手したことを発端にし、ルポルタージュに記される執筆者であるフリージャーナリストの若橋呉成と、彼が追いかける心中事件の生き残りである新藤七緒との関係が描かれる。その関係性の中に、ルポルタージュが出版禁止となった理由となった衝撃の事実が浮かび上がってくるというものだ。

ミステリーという意味からすると凡庸で、特筆すべき点は特にないと思う。本書は、物語としての小説を楽しむものではなく、小説内に仕掛けられたギミックを楽しむパズル小説なのである。

本書に散りばめられる様々なギミックについて、すべてに気づき、すべてに答えを見い出すことは難しいだろう。ギミックに気づくためには繰り返し読む必要があると思う。

事件の真相も、若橋呉成の書いたルポルタージュ内に言葉遊びのように組み込まれたギミックによって明らかになる。そのギミックに、感心するか呆れるかは読者次第だと思う。その他、若橋呉成、新藤七緒という名前に仕掛けられたギミックなどは、比較的わかりやすい。

とまあ、いかにも知ったふりで書き連ねているが、私が本書に仕掛けられたギミックで気づけたのはその程度で、その他にも存在するであろうギミックは検討もつかない。

小説としての楽しみを期待すると肩透かしを喰らうだろう。クイズとかパズルとか、頭の体操が好きならば面白いかもしれない。