ガタガタ書評ブログ

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世界の美しい本屋さんに思わず見とれてしまいます-エクスナレッジ「世界の夢の本屋さんシリーズ」

エクスナレッジの「世界の夢の本屋さん」シリーズは、すべての本好きが愛してやまない書店という存在の迫力を伝える写真集だと思う。

世界の夢の本屋さん

世界の夢の本屋さん

 

シリーズの第1作となる「世界の夢の本屋さん」は、主にヨーロッパ、アメリカ・ニューヨークにある個性的な本屋さんを写真付きで紹介してくれる。ロンドン、パリ、ローマ、ベルギーアムステルダム、そしてニューヨーク。近代的な建物とディスプレイで客を惹きつける店もあれば、世界最古ともいわれる伝統の本屋さんもある。文化遺産の大聖堂をつかった本屋さんに度肝を抜かれ、千差万別な品揃えに「ほぉ~」と関心のため息を漏らす。幅広いジャンルを浅く広く揃える本屋さんもあれば、特定ジャンルに絞って徹底的に深い品揃えと知識を誇る本屋さんもある。

各書店の店長やオーナー、実際に働いている書店員へのインタビューも興味深い。誰もが書店員である以前に読書家であり、愛書家である。まさに“好きこそものの上手なれ”であり、こんな書店員にぶつかったら、きっと新しい発見をさせてくれそうな気がする。

世界の夢の本屋さん2

世界の夢の本屋さん2

 

第2作となる「世界の夢の本屋さん2」では、ヨーロッパ、アジア、南米の伝統的、個性的な書店が34軒紹介されている。イギリス、フランス、イタリアなどヨーロッパ諸国の本屋さんには、やはり伝統的な雰囲気が漂う。しかしながら、創業100年を越えるような歴史ある書店もあれば、新進気鋭の個性的な書店もあるのが本屋さんの魅力。こうした、伝統的であったり個性的であったりする書店があるのは、なにもヨーロッパだけのことではない。日本をはじめとするアジア諸国にだって個性的な本屋さんは数多くある。日本の代官山・蔦屋書店の店作りや書店員のポリシーが感じられるところは、新刊本や雑誌を求めるために書店を訪れるだけの日々を変えてくれそうな雰囲気を感じる。

紹介されている書店の中で一番心を惹かれたのは、アルゼンチンのブエノスアイレスのある「エル・アテネオ・グランド・スペレンディッド」。閉鎖された劇場を書店にリニューアルしたという店内は、劇場の意匠をそのままの雰囲気で、普通の書店とは明らかに違う荘厳さのようなものを感じる。店内デザインだけでなく、若き店長をはじめとするスタッフの本に対する豊富な知識や愛情に溢れた品揃えもこの店の特長だろう。

世界で最も美しい書店

世界で最も美しい書店

 

シリーズ第3作「世界で最も美しい書店」からタイトルが変わった。なので、これを一連のシリーズとするのかは議論がわかれるのかもしれない。まぁ、私の認識ではシリーズということだ。アメリカ、ヨーロッパ、南米、中国、台湾、日本をそれぞれに代表する美しい書店が写真と短い文で紹介されている。途中には、装丁家空間デザイナーといった書店や本のデザインに造詣の深い人たちのショートエッセイが挿入されている。

世界の夢の本屋さん3

世界の夢の本屋さん3

 

そして第4作は再びタイトルが戻って「世界の夢の本屋さん3」。今回はヨーロッパ、北米の書店を中心に紹介されている。現代モダンアートのようなレイアウトの書店があれば、バラックのような建物に無造作に本を積み上げた露店のような書店もある。そのいずれもが店主のポリシーが書店のコンセプトに色濃く反映されていて、一見無機質なようで実に濃密な空間が形成されている。印象深いのはラスト・ブックストア。p.128下の写真に目を奪われた。書店オーナーからのメッセージも素晴らしい。

書店というのは、そのオーナーや客層、成り立ちなどによってさまざまに個性的な店構えになっていくのだと思う。無機質で近未来を思わせるような外観の建物で店内には各種の本が理路整然と陳列されているような書店もあれば、南国の掘っ立て小屋みたいな建物で書棚にはまったくジャンル分けなんかされていないような雑多な本が雑然と積み込まれているような書店もある。いずれも個性であり、どちらの書店も
非常に魅力的に見える。元は教会であった建物をそのまま利用した書店もあれば、劇場だった建物を流用した書店もある(桟敷席のような場所に座って本を読む客の姿が写った写真が掲載されていて面白い)。

世の中の本好きにとって、本屋さんというのはある種の聖域である。日本の本屋さん(特に都市型の大規模書店)は、没個性であると思われがちだが、品揃えやディスプレイなどもちろん工夫されているし、店員さんの知識も豊富だ。また、街の書店の中にはかなり個性的な本屋さんも数多く存在する。

本シリーズに紹介されている書店は、もしかすると書店としては利用しにくい店もあるかもしれない。オーナーや店員の個性や趣味が色濃く反映されているが故に一般の客には目的に本が探しにくかったり、敷居が高かったりする書店もありそうだ。もしかすると、書店としての機能は案外どうでもよかったりするのかもしれない。