ガタガタ書評ブログ

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こんな傑作が絶版で入手できないなんて!-キャサリン・ダン「異形の愛」

まず、最初に言っておきたい。どこの出版社でもいい、本書を復刊して欲しい。そのくらいの傑作だ。

異形の愛

異形の愛

 

キャサリン・ダン「異形の愛」は、フリークスと呼ばれる身体障害者を題材にした作品である。タイトルの「異形」とは、普通の人とは肢体の異なるフリークスを指す。

ドサ周りの見世物サーカス団を率いる夫婦は、自分たちの子供をフリークにするため妊娠中にヒ素などの毒物を服用して中毒を起こすなど、涙ぐましい努力を重ねている。その結果、長男のアーティは両手足の欠損した“アザラシ少年”として生まれ、エリーとイフィーの姉妹はシャム双子として生まれた。本書の語り部でもあるオリーはせむしでアルビノ、弟のチックは、見た目はノーマルだが超能力の持ち主だ。物語はこの家族の複雑な愛憎を描き上げていく。

フリークスという世間一般にはタブーとも言える存在を物語の中核人物に据え、フリークス同士の葛藤や愛憎、嫉妬や競争心を巧みにストーリーとして展開していく。必ずしもフリークスを登場人物にする必要はないかもしれないが、登場人物がフリークスであるが故に、本書が他のありふれた家族愛ストーリーを超越したのだ、と読むこともできる。

ただの「キワモノ小説」ではない。読者は、読み進めていくうちに登場人物たちがフリークスであることを忘れ、その世界観にどっぷりと浸かっていくことになるだろう。アーティ、エリー、イフィー、オリー、チック。それぞれの登場人物にいつしか自分を当てはめて、感情移入してしまうかもしれない。彼らは、私たちの心や思想を映し出す鏡のような存在なのではないか。身体の障害はあっても、心の健全さを持ち合わせた彼らに、私たち読者は、心と身体を反転させて臨んでいくように読み進めていく。そうやって、物語世界にのめり込ませれば、ラストに待ち受ける感動も倍増するに違いない。

最初に復刊希望を書いたが、本書は出版元であるペヨトル工房が倒産したため、現在絶版状態となっている。私は幸いに地元の図書館に蔵書があったため、借りて読むことができた。しかし、本書の特異性や版元の事情等を考えると全国の図書館に蔵書がある類の本ではない。しかし、紛れも無く本書は家族小説の傑作であり、多くの人に読んで欲しい1冊である。ぜひ、どこかの出版社が手をつくして、本書を再び表舞台に立たせてあげて欲しい。

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