どんな町にでも、「この店、営業してるのか?」と疑問に感じる店が1軒はあるものだ。「こういう店こそ、実はうまいんだよ」と通ぶって語る人もいるが、そういう人に限っていざ、「じゃ、入ってみる?」と水を向けると尻込みしたりする。この本は、そういう“生きてるか死んでるかわからない店”に果敢にアタックし、その生死の様をレポートしたグルメエッセイである。
あなたの町の生きてるか死んでるかわからない店探訪します (ウィングス文庫)
- 作者: 菅野彰,立花実枝子
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2013/02/09
- メディア: 文庫
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とにかく出てくる店がハンパでない。もちろん、生きている店(その危険な店構えにもかかわらずうまい料理を食わせる店)もあるのだが、ほとんどは死んでる店(外観、店内、店員の挙動がどれも怪しく、かつ出される料理がとても食えたもんじゃないという店)であり、レンジャー(店にアタックするメンバーを文中でそう呼称している)たちは、得体の知れない料理の数々との戦いを繰り広げる。時にリバース(吐き戻すってことだね)し、意識を失いかけ、キレかけ、逃げかけ、etcetc・・・。よくぞ、こんな企画を思いついたと読んでいてほめてあげたくなる。
この本に出てくるような死んでいる店が、経営として成り立っていることに驚かされる。外観がボロボロ。店内は汚い。テーブルの上をゴキブリが這っている。店主や店員が挙動不審。そして出てくる料理は激マズという店に経営が成立するほどの客が来るとは到底思えない。きっと何かからくりがある筈だ。さおだけ屋がつぶれない以上に謎なのだから、世の経済学者は是非とその謎を解明して欲しいものである。