ガタガタ書評ブログ

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マキューアンの変態ぶりに悶絶-イアン・マキューアン「ベッドの中で」

イアン・マキューアンが変態なのは最近の作品(例えば「ソーラー」とか)を読めばわかる。1998年には「アムステルダム」でブッカー賞も受賞しているし、最終候補には計4回選ばれている。いわば、イギリス文學界ではけっこうな地位のある作家なのである。でも、作品はかなり変態だ。

本作は、1978年に発表されたマキューアンの第二短編集にあたる。収録されている作品に共通するのは倒錯した性である。例えば、冒頭に収録されている「サイコポリス」では恋人に自分の両親の前でズボンをはいたまま放尿することを要求する女性が登場するし、表題作になっている「ベッドのなかで」は幼い我が娘に性的な欲求を覚える男の話だ。

とにかく、全編が変態的な性癖を有する登場人物で占められているので、読むにあたってはその変態性を許容できるか否かも必要になってくる。ただ、マキューアンの作品は変態ではあるけれどもエロではない。後にブッカー賞を受賞するような作家であるし、その文体は実に美しく文学的ではある。書かれている内容が刺激的であるが、小説作品としての完成度はやはり高いと思う。

もともと、本書を読もうと思ったのは翻訳家岸本佐知子氏のエッセイ集「なんらかの事情」の中で、アスパラガスを食べた後の尿は臭いという話(岸本氏もこれだけ見ると相当の変態のように思えるが)があり、そこで本書に収録されている「飼い猿の内省」に言及されていたからだ。もともとマキューアン作品は好きで近作に関してはほぼ読んでいたので、そろそろ初期の作品も読んでおこうと思っていたのと、一風変わったテイストの海外文学作品の目利きと翻訳には定評のある岸本氏も触れている作品だけに期待をこめて図書館に予約(さすがに絶版本らしく書店では購入できなかった)したのである。で、結論から言えば「さすがのマキューアン」というところである。

実はまだブッカー賞受賞作である「アムステルダム」は未読な状態。最後のお楽しみにしてその他の作品から攻めて行くか、速攻で飛びつくか。悩ましいところである。