ガタガタ書評ブログ

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さよならタマちゃん

ある日、自分が癌であると知ったなら。果たして平静にしていられるだろうか。延々と続いていく放射線治療や抗癌剤治療の苦しみに耐えて戦えるだろうか。
 
著者は、「GANTZ」の作者である奥浩哉のアシスタントを勤めていたマンガ家である。ある日、セックスをしているときに妻から言われた「左右で大きさが違っている」の一言。病院での検査結果は“精巣腫瘍”すなわち癌であった。ここから、著者の過酷な入院、治療の日々が始まる。放射線治療や抗癌剤治療の副作用により髪の毛が抜け、激しい嘔吐が繰り返す。当然食事は一切受け入れられず、ほとんど何も口にできるものがない。何とか栄養を補給しなければと試行錯誤して、ようやく口にできるものが見つかっても長続きしない。本当に自分の病気は治るのか。もしかしたらこのまま病状が進んで死んでしまうのではないか。どうしてこんなに苦しい治療をしなければならないのか。苦しみからやがて治療うつを発症してしまう著者。優しい妻にさえ当り散らしてしまう。
 
辛い入院生活の中でも楽しいことはある。同じ病室になった他の癌患者たちとのふれあいもそのひとつだ。とても癌患者には思えないようなバイタリティにあふれた患者や何度も再発入退院を繰り返す病室の主のような患者。トラブルを巻き起こす患者もいるが、そういうのが一部にすぎない。
 
しかし、仲良くなった同室の患者も癌に打ち勝つことができずに亡くなっていく。そのつらさも入院生活にはあるのだ。
 
幸いにして著者は治療が功を奏し、癌を克服することができた。まだ再発のリスクはあるかもしれないが、少なくとも今の時点では普通の生活を取り戻している。著者はがん治療の経験をマンガにした。本書が、癌と戦う患者たちに勇気を与えるものになるかもしれない。そうであることを願いたい。
 
 

 

さよならタマちゃん (イブニングKC)

さよならタマちゃん (イブニングKC)

 

 

さよならタマちゃん

さよならタマちゃん