ガタガタ書評ブログ

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

海外文学

ニコルソン・ベイカー/岸本佐知子訳「ノリーのおわらない物語」(白水社)-子どもの想像力、子どもの行動力がたっぷりつまった愛情いっぱいの物語

ノリーのおわらない物語 (白水uブックス) 作者: ニコルソンベイカー,Nicholson Baker,岸本佐知子 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2008/09 メディア: 単行本 購入: 4人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (21件) を見る エレノア・ウィンスロウ(ノリー)…

パク・ミンギュ/斎藤真理子訳「ピンポン」(白水社)-いじめられっ子の二人の少年《釘とモアイ》。「あちゃー」なふたりがピンポンに出会った時、人類の運命は彼らにゆだねられる!

ピンポン (エクス・リブリス) 作者: パク・ミンギュ,斎藤真理子 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2017/05/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 第1回日本翻訳大賞を受賞したパク・ミンギュ「カステラ」を読んだときの衝撃が再び。「ピン…

ポール・トーディ/小竹由美子訳「ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン」(白水社)-『私の身体はワインでできているの』ではないけれど、ウィルバーフォース氏にはワインしか見えていない

ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン (エクス・リブリス) 作者: ポールトーディ,小竹由美子 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2010/08/17 メディア: 単行本 クリック: 36回 この商品を含むブログ (12件) を見る お酒に関しての蘊蓄を語る人は多い。…

エドワード・ケアリー/古屋美登里訳「穢れの町~アイアマンガー三部作(2)」(東京創元社)-「堆塵館」の驚愕のラストを読んだときから続きが気になって仕方なかった!「アイアマンガー三部作」待望の第2巻をひと足先に読んだ!すごかった!

穢れの町 (アイアマンガー三部作2) 作者: エドワード・ケアリー,古屋美登里 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2017/05/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 「待ってました!」前作「堆塵館」を読んだ方なら絶対にそう思っているはず…

カレン・ジョイ・ファウラー/矢倉尚子訳「私たちが姉妹だったころ」(白水社)-両親と兄と双子の姉。でも、ローズマリーの家族はありふれた普通の家族ではなかった

私たちが姉妹だったころ 作者: カレン・ジョイ・ファウラー,矢倉尚子 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2017/01/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 『訳者あとがき』から引用する。 本を読み始める前に「あとがき」をぱらぱらめくってみる癖の…

ジェイムス・クリュス/森川弘子訳「笑いを売った少年」(未知谷)-世界が不穏な方向に向かっていると感じられる今、「笑うことができる」という幸せの意味を改めて考えてみたいと思う

笑いを売った少年 作者: ジェイムスクリュス,James Kr¨uss,森川弘子 出版社/メーカー: 未知谷 発売日: 2004/03 メディア: 単行本 クリック: 27回 この商品を含むブログ (8件) を見る 子どもの笑い声は、周りを明るく元気にさせてくれる魔力を持っている。 ジ…

ウィル・ワイルズ/茂木健訳「時間のないホテル」(東京創元社)-閉ざされ、歪められた空間で狂気と正義がせめぎ合うエンターテインメント

時間のないホテル (創元海外SF叢書) 作者: ウィル・ワイルズ 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2017/03/21 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る 時間のないホテル (創元海外SF叢書) 作者: ウィル・ワイルズ,若島正,茂木健 出版社/メ…

エドゥアルド・ハルフォン/松本健二訳「ポーランドのボクサー」(白水社)-祖父の左腕に刺青された『69752』の数字が意味する過去の物語。そして、今を生きる著者自身の物語。

ポーランドのボクサー (エクス・リブリス) 作者: エドゥアルド・ハルフォン,松本健二 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2016/05/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る 69752。これはわしの電話番号だ。そこに、つまり左の手首と肘のあいだ…

ジョージ・オーウェル/山形浩生訳「動物農場」(早川書房)-1940年代に書かれたこの作品が、そのまま今の世界への批判になっている怖さ

動物農場〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫) 作者: ジョージ・オーウェル,水戸部功,山形浩生 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2017/01/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に就任してから、彼の国では…

【書評】ステファン・グラビンスキ/芝田文乃訳「狂気の巡礼」(国書刊行会)−暗闇の中で内と外の境界面を歩いているような気分になる

狂気の巡礼 作者: ステファン・グラビンスキ,芝田文乃 出版社/メーカー: 国書刊行会 発売日: 2016/09/23 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 第三回日本翻訳大賞の最終選考作品6作に残った中から、今回読んだのはステファン・グラビンスキ…

【書評】スティーヴン・ローリー/越前敏弥訳「おやすみ、リリー」(ハーパー・コリンズ・ジャパン)-読んでいてこんなに辛かった本は初めてだった。でも、こんなに愛おしくなった本も初めてだった。

おやすみ、リリー 作者: スティーヴン・ローリー,越前敏弥 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン 発売日: 2017/04/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 《まえがき》このレビューは、ハーバー・コリンズ・ジャパンの読者モニター募集に…

【書評】ヴィンス・ヴォーター/原田勝訳「ペーパーボーイ」(岩波書店)-そして、少年は成長する

ペーパーボーイ (STAMP BOOKS) 作者: ヴィンス・ヴォーター,原田勝 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2016/07/09 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る 子どもの頃の経験は、その子を大きく成長させるだけでなく、大人にな…

【書評】アリス・フェレル/デュランテクスト冽子訳「本を読むひと」(新潮社)-流浪の自由民であるジプシーと“本を読む人”との交流の物語。幸せの形はひとそれぞれの価値観で決まるものだと思う。

本を読むひと (Shinchosha CREST BOOKS) 作者: アリス・フェルネ,デュランテクスト冽子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/12/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 21世紀のこの時代に、現実にジプシーなんて存在するのだろうか。ま…

【書評】アーサー・コナン・ドイル/阿部知二訳「恐怖の谷」(東京創元社)-ホームズ長編作品再読のラストは、ホームズ・シリーズでも屈指のエンターテインメント小説だった

《お知らせ》書評サイト「本が好き!」で、「古今東西、名探偵を読もう!」という掲示板企画を立ち上げています。名探偵が好きなみなさんのご参加お待ちしています! 恐怖の谷【新訳版】 (創元推理文庫) 作者: アーサー・コナン・ドイル,深町眞理子 出版社/…

【書評】ハン・ガン/井出俊作訳「少年が来る」(クオン)-韓国民主化のきっかけとなった光州事件を題材とした一冊。この作品を読むには強い覚悟が必要だ。

少年が来る (新しい韓国の文学) 作者: ハンガン,井手俊作 出版社/メーカー: クオン 発売日: 2016/10/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「菜食主義者」で韓国人初の「マン・ブッカー賞」を受賞したハン・ガンが、自らの故郷でもある光州で起き…

【書評】アーサー・コナン・ドイル/阿部知二訳「バスカヴィル家の犬」(東京創元社)−牙を抜かれた犬と読む「バスカヴィル家の犬」

《お知らせ》書評サイト「本が好き!」で、「古今東西、名探偵を読もう!」という掲示板企画を立ち上げています。名探偵が好きなみなさんのご参加お待ちしています! バスカヴィル家の犬 (創元推理文庫) 作者: アーサー・コナン・ドイル,深町眞理子 出版社/…

【書評】ジョン・バージャー著・ジャン・モア写真/村松潔訳「果報者ササル~ある田舎医者の物語」(みすず書房)-1967年に刊行され、『本書を読んで心を動かされない者は、医者になるべきではない』とまで言われる1冊。ひとりの田舎医師の姿を通して医療とは医師とはを問うドキュメンタリー

果報者ササル――ある田舎医者の物語 作者: ジョン・バージャー,ジャン・モア(写真),村松潔 出版社/メーカー: みすず書房 発売日: 2016/11/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る まず目に飛び込んでくるのは、男性が真剣な面持ちで右眼につ…

【イベント】二子玉川の蔦屋家電で開催された「はじめての海外文学」イベントに行ってきたよ!

雪なのである。 移動時間を考慮して少し早めに会社を出た私の目に飛び込んできたのは、結構な量で降りしきる雪だった。雪が降っているということは、当然ながら「寒い!」のである。それだけで、ちょっと気持ち的には萎えてしまいそうになるのだが、今日は大…

【書評】ジャスパー・フォード/田村源二訳「文学刑事サーズデイ・ネクスト1~ジェイン・エアを探せ!」(ソニー・マガジンズ)-名作文学の世界を守れ!誘拐されたジェインを文学刑事サーズデイ・ネクストは救い出すことができるのか!?

《お知らせ》書評サイト「本が好き!」で、「古今東西、名探偵を読もう!」という掲示板企画を立ち上げています。名探偵が好きなみなさんのご参加お待ちしています! 文学刑事サーズデイ・ネクスト〈1〉ジェイン・エアを探せ! (ヴィレッジブックス) 作者: ジ…

【書評】カリル・フェレル/加藤かおり・川口明百美訳「マプチェの女」(早川書房)-友を殺され、愛する人を失ったとき、マプチェの女は復讐の鬼と化す

マプチェの女 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: カリルフェレ,Caryl F´erey,加藤かおり,川口明百美 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2016/02/24 メディア: 新書 この商品を含むブログ (8件) を見る マプチェの女 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: カリルフ…

【書評】ブライアン・エヴンソン/柴田元幸訳「ウインドアイ」(新潮社)-読者を現実とは違う世界に連れて行ってくれるような短編の数々

ウインドアイ (新潮クレスト・ブックス) 作者: ブライアンエヴンソン,Brian Evenson,柴田元幸 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/11/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 短編集を読むときに、最初から順番に読む場合と順番は関係な…

【書評】J・M・クッツェー/鴻巣友季子訳「イエスの幼子時代」(早川書房)-その幼子を無垢と呼ぶなかれ。か弱き幼子はいつかこの世界を動かすであろう。

イエスの幼子時代 作者: J・M・クッツェー,鴻巣友季子 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2016/06/23 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 子どもはいつでも好奇心に溢れているものだ。 「どうして○○なの?」「なんで□□しなきゃいけないの…

【書評】エドワード・ケアリー/古屋美登里訳「アルヴァとイルヴァ」(文藝春秋)-《陽》のアルヴァと《陰》のイルヴァ。対照的な双子の姉妹は、どのようにエントラーラの町を救ったのか?

アルヴァとイルヴァ 作者: エドワード・ケアリー,古屋美登里 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2004/11/20 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 3回 この商品を含むブログ (9件) を見る 2016年に読んだ本の中でエドワード・ケアリー「堆塵館」はかなりお…

【書評】アーサー・コナン・ドイル/阿部知二訳「四人の署名」(東京創元社)−ワトスン博士がモースタン嬢にひとめ惚れして事件解決後に晴れて夫婦となるまでの物語(事件もあるよ!)

四人の署名 【新訳版】 シャーロック・ホームズ・シリーズ (創元推理文庫) 作者: アーサー・コナン・ドイル 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2015/09/11 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 四人の署名【新訳版】 (創元推理文庫) 作者: ア…

【書評】チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ/くぼたのぞみ訳「半分のぼった黄色い太陽」(河出書房新社)−ナイジェリア出身の女流作家が描き出す『ビアフラ戦争』の悲劇に翻弄された人たちの物語

半分のぼった黄色い太陽 作者: チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ,くぼたのぞみ 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2010/08/25 メディア: ハードカバー クリック: 16回 この商品を含むブログ (14件) を見る チママンダ・ンゴズィ・アディーチェという…

【書評】シャーリー・ジャクソン/市田泉訳「処刑人」(東京創元社)-少女は空想の中で成長し、大人としての真実に足を踏み出す

処刑人 (創元推理文庫) 作者: シャーリイ・ジャクスン,市田泉 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2016/11/30 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る 処刑人 (創元推理文庫) 作者: シャーリイ・ジャクスン 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日…

【書評】アーサー・コナン・ドイル/阿部知二訳「緋色の研究」(東京創元社)-刊行から130周年!世界的名探偵の記念すべき初登場作品を読み返してみた!

緋色の研究【新訳版】 (創元推理文庫) 作者: アーサー・コナン・ドイル,深町眞理子 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2010/11/27 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 2回 この商品を含むブログ (12件) を見る 緋色の研究 シャーロック・ホームズ 作者: …

【書評】スティーヴン・キング/白石朗訳「ミスター・メルセデス」(文藝春秋)-メルセデスを暴走させて8人の命を奪った殺人鬼“ミスター・メルセデス”と退職した元刑事との息詰まる攻防

2017年最初の更新になります。今年もよろしくお願いします。新年最初にとりあげるのは、年末年始に読んだスティーヴン・キングの「ミスター・メルセデス」です。 ミスター・メルセデス 上 作者: スティーヴン・キング,白石朗 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売…

【書評】ゲオルギイ・コヴェンチューク/片山ふえ訳「8号室~コムナルカ住民図鑑」(群像社)-“ガガ”の愛称で親しまれた画家であり名エッセイストでもある著者の思い出が描かれた短篇小説風のエッセイ集

8号室―コムナルカ住民図鑑 作者: ゲオルギイ・ワシーリエヴィチコヴェンチューク,片山ふえ 出版社/メーカー: 群像社 発売日: 2016/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 本書の著者ゲオルギイ・コヴェンチュークは、1933年生まれでレニングラード…

【書評】チャールズ・ウィルフォード/浜野アキオ訳「拾った女」(扶桑社)−行きずりの女を男は愛しいと感じた。ふたりは愛を交わし、そして落ちた。行き着く先には悲劇があった。

拾った女 (扶桑社文庫) 作者: チャールズウィルフォード,浜野アキオ 出版社/メーカー: 扶桑社 発売日: 2016/07/02 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (14件) を見る チャールズ・ウィルフォード「拾った女」は、文字通りあるひとりの女を拾った男の物語だ…