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ガタガタ書評ブログ

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

エドゥアルド・ハルフォン/松本健二訳「ポーランドのボクサー」(白水社)-祖父の左腕に刺青された『69752』の数字が意味する過去の物語。そして、今を生きる著者自身の物語。

ポーランドのボクサー (エクス・リブリス) 作者: エドゥアルド・ハルフォン,松本健二 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2016/05/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る 69752。これはわしの電話番号だ。そこに、つまり左の手首と肘のあいだ…

ジョージ・オーウェル/山形浩生訳「動物農場」(早川書房)-1940年代に書かれたこの作品が、そのまま今の世界への批判になっている怖さ

動物農場〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫) 作者: ジョージ・オーウェル,水戸部功,山形浩生 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2017/01/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に就任してから、彼の国では…

【書評】ステファン・グラビンスキ/芝田文乃訳「狂気の巡礼」(国書刊行会)−暗闇の中で内と外の境界面を歩いているような気分になる

狂気の巡礼 作者: ステファン・グラビンスキ,芝田文乃 出版社/メーカー: 国書刊行会 発売日: 2016/09/23 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 第三回日本翻訳大賞の最終選考作品6作に残った中から、今回読んだのはステファン・グラビンスキ…

【書評】スティーヴン・ローリー/越前敏弥訳「おやすみ、リリー」(ハーパー・コリンズ・ジャパン)-読んでいてこんなに辛かった本は初めてだった。でも、こんなに愛おしくなった本も初めてだった。

おやすみ、リリー 作者: スティーヴン・ローリー,越前敏弥 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン 発売日: 2017/04/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 《まえがき》このレビューは、ハーバー・コリンズ・ジャパンの読者モニター募集に…

【書評】ヴィンス・ヴォーター/原田勝訳「ペーパーボーイ」(岩波書店)-そして、少年は成長する

ペーパーボーイ (STAMP BOOKS) 作者: ヴィンス・ヴォーター,原田勝 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2016/07/09 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る 子どもの頃の経験は、その子を大きく成長させるだけでなく、大人にな…

【書評】アリス・フェレル/デュランテクスト冽子訳「本を読むひと」(新潮社)-流浪の自由民であるジプシーと“本を読む人”との交流の物語。幸せの形はひとそれぞれの価値観で決まるものだと思う。

本を読むひと (Shinchosha CREST BOOKS) 作者: アリス・フェルネ,デュランテクスト冽子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/12/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 21世紀のこの時代に、現実にジプシーなんて存在するのだろうか。ま…

【書評】アーサー・コナン・ドイル/阿部知二訳「恐怖の谷」(東京創元社)-ホームズ長編作品再読のラストは、ホームズ・シリーズでも屈指のエンターテインメント小説だった

《お知らせ》書評サイト「本が好き!」で、「古今東西、名探偵を読もう!」という掲示板企画を立ち上げています。名探偵が好きなみなさんのご参加お待ちしています! 恐怖の谷【新訳版】 (創元推理文庫) 作者: アーサー・コナン・ドイル,深町眞理子 出版社/…

【書評】ハン・ガン/井出俊作訳「少年が来る」(クオン)-韓国民主化のきっかけとなった光州事件を題材とした一冊。この作品を読むには強い覚悟が必要だ。

少年が来る (新しい韓国の文学) 作者: ハンガン,井手俊作 出版社/メーカー: クオン 発売日: 2016/10/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「菜食主義者」で韓国人初の「マン・ブッカー賞」を受賞したハン・ガンが、自らの故郷でもある光州で起き…

【書評】アーサー・コナン・ドイル/阿部知二訳「バスカヴィル家の犬」(東京創元社)−牙を抜かれた犬と読む「バスカヴィル家の犬」

《お知らせ》書評サイト「本が好き!」で、「古今東西、名探偵を読もう!」という掲示板企画を立ち上げています。名探偵が好きなみなさんのご参加お待ちしています! バスカヴィル家の犬 (創元推理文庫) 作者: アーサー・コナン・ドイル,深町眞理子 出版社/…

【書評】ジョン・バージャー著・ジャン・モア写真/村松潔訳「果報者ササル~ある田舎医者の物語」(みすず書房)-1967年に刊行され、『本書を読んで心を動かされない者は、医者になるべきではない』とまで言われる1冊。ひとりの田舎医師の姿を通して医療とは医師とはを問うドキュメンタリー

果報者ササル――ある田舎医者の物語 作者: ジョン・バージャー,ジャン・モア(写真),村松潔 出版社/メーカー: みすず書房 発売日: 2016/11/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る まず目に飛び込んでくるのは、男性が真剣な面持ちで右眼につ…

【イベント】二子玉川の蔦屋家電で開催された「はじめての海外文学」イベントに行ってきたよ!

雪なのである。 移動時間を考慮して少し早めに会社を出た私の目に飛び込んできたのは、結構な量で降りしきる雪だった。雪が降っているということは、当然ながら「寒い!」のである。それだけで、ちょっと気持ち的には萎えてしまいそうになるのだが、今日は大…

【書評】ジャスパー・フォード/田村源二訳「文学刑事サーズデイ・ネクスト1~ジェイン・エアを探せ!」(ソニー・マガジンズ)-名作文学の世界を守れ!誘拐されたジェインを文学刑事サーズデイ・ネクストは救い出すことができるのか!?

《お知らせ》書評サイト「本が好き!」で、「古今東西、名探偵を読もう!」という掲示板企画を立ち上げています。名探偵が好きなみなさんのご参加お待ちしています! 文学刑事サーズデイ・ネクスト〈1〉ジェイン・エアを探せ! (ヴィレッジブックス) 作者: ジ…

【書評】カリル・フェレル/加藤かおり・川口明百美訳「マプチェの女」(早川書房)-友を殺され、愛する人を失ったとき、マプチェの女は復讐の鬼と化す

マプチェの女 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: カリルフェレ,Caryl F´erey,加藤かおり,川口明百美 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2016/02/24 メディア: 新書 この商品を含むブログ (8件) を見る マプチェの女 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: カリルフ…

【書評】ブライアン・エヴンソン/柴田元幸訳「ウインドアイ」(新潮社)-読者を現実とは違う世界に連れて行ってくれるような短編の数々

ウインドアイ (新潮クレスト・ブックス) 作者: ブライアンエヴンソン,Brian Evenson,柴田元幸 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/11/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 短編集を読むときに、最初から順番に読む場合と順番は関係な…

【書評】J・M・クッツェー/鴻巣友季子訳「イエスの幼子時代」(早川書房)-その幼子を無垢と呼ぶなかれ。か弱き幼子はいつかこの世界を動かすであろう。

イエスの幼子時代 作者: J・M・クッツェー,鴻巣友季子 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2016/06/23 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 子どもはいつでも好奇心に溢れているものだ。 「どうして○○なの?」「なんで□□しなきゃいけないの…

【書評】エドワード・ケアリー/古屋美登里訳「アルヴァとイルヴァ」(文藝春秋)-《陽》のアルヴァと《陰》のイルヴァ。対照的な双子の姉妹は、どのようにエントラーラの町を救ったのか?

アルヴァとイルヴァ 作者: エドワード・ケアリー,古屋美登里 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2004/11/20 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 3回 この商品を含むブログ (9件) を見る 2016年に読んだ本の中でエドワード・ケアリー「堆塵館」はかなりお…

【書評】アーサー・コナン・ドイル/阿部知二訳「四人の署名」(東京創元社)−ワトスン博士がモースタン嬢にひとめ惚れして事件解決後に晴れて夫婦となるまでの物語(事件もあるよ!)

四人の署名 【新訳版】 シャーロック・ホームズ・シリーズ (創元推理文庫) 作者: アーサー・コナン・ドイル 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2015/09/11 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 四人の署名【新訳版】 (創元推理文庫) 作者: ア…

【書評】チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ/くぼたのぞみ訳「半分のぼった黄色い太陽」(河出書房新社)−ナイジェリア出身の女流作家が描き出す『ビアフラ戦争』の悲劇に翻弄された人たちの物語

半分のぼった黄色い太陽 作者: チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ,くぼたのぞみ 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2010/08/25 メディア: ハードカバー クリック: 16回 この商品を含むブログ (14件) を見る チママンダ・ンゴズィ・アディーチェという…

【書評】シャーリー・ジャクソン/市田泉訳「処刑人」(東京創元社)-少女は空想の中で成長し、大人としての真実に足を踏み出す

処刑人 (創元推理文庫) 作者: シャーリイ・ジャクスン,市田泉 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2016/11/30 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る 処刑人 (創元推理文庫) 作者: シャーリイ・ジャクスン 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日…

【書評】アーサー・コナン・ドイル/阿部知二訳「緋色の研究」(東京創元社)-刊行から130周年!世界的名探偵の記念すべき初登場作品を読み返してみた!

緋色の研究【新訳版】 (創元推理文庫) 作者: アーサー・コナン・ドイル,深町眞理子 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2010/11/27 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 2回 この商品を含むブログ (12件) を見る 緋色の研究 シャーロック・ホームズ 作者: …

【書評】スティーヴン・キング/白石朗訳「ミスター・メルセデス」(文藝春秋)-メルセデスを暴走させて8人の命を奪った殺人鬼“ミスター・メルセデス”と退職した元刑事との息詰まる攻防

2017年最初の更新になります。今年もよろしくお願いします。新年最初にとりあげるのは、年末年始に読んだスティーヴン・キングの「ミスター・メルセデス」です。 ミスター・メルセデス 上 作者: スティーヴン・キング,白石朗 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売…

【書評】ゲオルギイ・コヴェンチューク/片山ふえ訳「8号室~コムナルカ住民図鑑」(群像社)-“ガガ”の愛称で親しまれた画家であり名エッセイストでもある著者の思い出が描かれた短篇小説風のエッセイ集

8号室―コムナルカ住民図鑑 作者: ゲオルギイ・ワシーリエヴィチコヴェンチューク,片山ふえ 出版社/メーカー: 群像社 発売日: 2016/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 本書の著者ゲオルギイ・コヴェンチュークは、1933年生まれでレニングラード…

【書評】チャールズ・ウィルフォード/浜野アキオ訳「拾った女」(扶桑社)−行きずりの女を男は愛しいと感じた。ふたりは愛を交わし、そして落ちた。行き着く先には悲劇があった。

拾った女 (扶桑社文庫) 作者: チャールズウィルフォード,浜野アキオ 出版社/メーカー: 扶桑社 発売日: 2016/07/02 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (14件) を見る チャールズ・ウィルフォード「拾った女」は、文字通りあるひとりの女を拾った男の物語だ…

【書評】閻連科/谷川毅訳「年月日」(白水社)-干ばつの村にたった1本残ったトウモロコシを守るひとりの老人と1匹の盲犬の戦いのはてにあるもの

年月日 作者: 閻連科,谷川毅 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2016/11/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る ついに『年月日』が日本でも出版されました。この作品は中国でもほかの国でも広く愛され、論争になることも非難されることもほ…

【書評】ヒラリー・ウォー「失踪当時の服装は」(東京創元社)-#はじめての海外文学 Vol.2ビギナー篇より。あるひとりの失踪した少女の行方と謎を地道に追いかける警察。1952年刊行の“警察小説”のパイオニア

失踪当時の服装は (創元推理文庫) 作者: ヒラリー・ウォー 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2015/03/23 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 失踪当時の服装は【新訳版】 (創元推理文庫) 作者: ヒラリー・ウォー,法村里絵 出版社/メーカー: …

【書評】エドワード・ケアリー「堆塵館~アイアマンガー三部作(1)」-まったく先の読めない壮大なアイアマンガー三部作の幕開けを飾る作品。物語のもつ力強さと読者を取り込むワクワク感を存分に味わえる

堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1) 作者: エドワード・ケアリー,古屋美登里 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2016/09/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (10件) を見る 堆塵館 アイアマンガー三部作 作者: エドワード・…

【書評】ヴァレンタイン・デイヴィス「34丁目の奇跡」(あすなろ書房)-ひとりの老人が起こす奇跡。彼は本当にサンタクロースだったのだろうか? #はじめての海外文学 Vol.2 ビギナー篇より

34丁目の奇跡 作者: ヴァレンタインデイヴィス,Valentine Davies,片岡しのぶ 出版社/メーカー: あすなろ書房 発売日: 2002/11 メディア: 単行本 クリック: 6回 この商品を含むブログ (8件) を見る 気がつけば12月も半ばに差し掛かり、年末の慌ただしい喧騒が…

【書評】チョン・セラン「アンダー、サンダー、テンダー」(クオン)-韓国の地方の町で出会った6人の高校生の成長と青春の記録 #はじめての海外文学 ビギナー篇より。

アンダー、サンダー、テンダー (新しい韓国の文学) 作者: チョンセラン,吉川凪 出版社/メーカー: クオン 発売日: 2015/07/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「どうしてアンダー、サンダー、テンダーなの」ジュヨンが青い画面の上に小さく出た…

【書評】ドナ・タート「ゴールドフィンチ(4)」(河出書房新社)-「ごしきひわ」を巡って舞台はオランダ・アムステルダムへ。第1巻~第3巻に張り巡らされてきた伏線が回収され、物語は終焉を迎える

ゴールドフィンチ 4 作者: ドナ・タート 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2016/09/09 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る ゴールドフィンチ 4 作者: ドナ・タート,岡真知子 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2016/08/26 メディア:…

【書評】ハン・ガン(韓江)「菜食主義者」(クオン)− #はじめての海外文学 ビギナー篇の1冊。突然肉食を拒否するようになった女性と家族の崩壊する様が描き出す人間の狂気と恐怖

菜食主義者 (新しい韓国の文学 1) 作者: ハン・ガン,川口恵子,きむふな 出版社/メーカー: cuon 発売日: 2011/06/15 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 1人 クリック: 23回 この商品を含むブログ (5件) を見る 「菜食主義者」というタイトルから、ベジ…

【書評】ウィリアム・トレヴァー「アイルランド・ストーリーズ」(国書刊行会)-追悼ウィリアム・トレヴァー。短編の名手による母国アイルランドの風景と対比する人間の姿

アイルランド・ストーリーズ 作者: ウィリアム・トレヴァー,栩木伸明 出版社/メーカー: 国書刊行会 発売日: 2010/08/27 メディア: 単行本 購入: 4人 クリック: 42回 この商品を含むブログ (19件) を見る 2016年11月20日、アイルランドの作家ウィリアム・トレ…

【書評】チェーホフ著/沼野充義訳「[新訳]チェーホフ短篇集」(集英社)- #はじめての海外文学 フェアVol.2「ビギナー篇」の1冊。ドストエフスキーやトルストイの重厚長大さとは異なるユーモア短編の妙がチェーホフの魅力

新訳 チェーホフ短篇集 (集英社文芸単行本) 作者: アントン・チェーホフ 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2015/02/06 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 新訳 チェーホフ短篇集 作者: アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ,沼野充義 出版社/…

【書評】ノダル・ドゥンパゼ「僕とおばあさんとイリコとイラリオン」(未知谷)-大好きなおばあさんとイリコとイラリオンと過ごした日々

僕とおばあさんとイリコとイラリオン 作者: ノダルドゥンバゼ,Nodar Dumbadze,児島康宏 出版社/メーカー: 未知谷 発売日: 2004/02 メディア: 単行本 クリック: 5回 この商品を含むブログ (6件) を見る (ドアをノックする音。ひとりがけのソファから老人がゆ…

【書評】デボラ・インストール「ロボット・イン・ザ・ガーデン」(小学館)ー育児(ただしロボット)はダメ男を成長させる

ロボット・イン・ザ・ガーデン 作者: デボラ・インストール 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2016/06/24 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る ロボット・イン・ザ・ガーデン (小学館文庫) 作者: デボラインストール,Deborah Install,松原葉子 出…

【書評】リンド・ウォード「狂人の太鼓」(国書刊行会)ー120枚の木版画によって紡ぎ出される読者の想像力をかりたてる作品

狂人の太鼓 作者: リンドウォード,Lynd Ward 出版社/メーカー: 国書刊行会 発売日: 2002/10 メディア: 単行本 クリック: 8回 この商品を含むブログ (13件) を見る すべては1枚の木版画からはじまる。

【書評】鄭泳文「ある作為の世界」(書肆侃侃房)−あるがまま、見たままをただ書き綴る。ただそれだけが面白い

ある作為の世界 作者: 鄭泳文,奇廷修 出版社/メーカー: 書肆侃侃房 発売日: 2016/07/09 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 鄭泳文(チョン・ヨンムン)による本書「ある作為の世界」は、彼が大山文化財団という団体の支援を受け…

【書評】ドナ・タート「ゴールドフィンチ(2)」(河出書房新書)−母を失った少年の前に、失踪中だった父が突然現れた。少年は、父に引き取られラスベガスで暮らすことになるのだが…

ゴールドフィンチ 2 作者: ドナ・タート 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2016/08/05 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る ゴールドフィンチ 2 作者: ドナ・タート,岡真知子 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2016/07/26 メディア:…

【書評】ペーター・シュタム「誰もいないホテルで」(新潮社)-美しい文章(美しい翻訳)に癒やされる

小説にはいろいろなタイプがあって、プロットの妙で読者を引きつける作品もあれば、キャラクターの魅力や会話の面白さでページをグイグイと読み進めてしまう作品もある。 文章が美しい小説というのも、さまざまに存在する小説のタイプのひとつだと思う。書か…

【書評】ハラルト・ギルバース「オーディンの末裔」(集英社)-「ゲルマニア」の続編。ドイツの敗色濃厚な中、夫殺しの嫌疑を駆けられた友人を救うためにオッペンハイマーは奔走する

ハラルト・ギルバースのデビュー作「ゲルマニア」を読んだのは1年少し前、2015年8月のことだ。ナチス政権下のドイツでユダヤ人の元刑事オッペンハイマーが、ナチス将校フォーグラー大尉の命令で残忍な連続猟奇殺人事件の捜査に挑むという作品で、ユダヤ人と…

【書評】阿部公彦/阿部賢一/楯岡求美/平山令二「世界の文豪の家」(エクスナレッジ)-あの名作はこの家で生まれた。環境が作品のベースとなり、傑作を生み出すのだと感じさせてくれる写真集

世界の文豪の家 作者: 阿部公彦,阿部賢一,楯岡求美,平山令二 出版社/メーカー: エクスナレッジ 発売日: 2016/09/01 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 紹介されている様々な文豪の家を見ていると、その作家が暮らした環境が作品…

【書評】ドナ・タート「ゴールドフィンチ(1)」(河出書房新社)-爆弾テロで母親を失った少年は、1枚の絵とともに波乱万丈の運命を生きる。大長編小説の幕開けとなる1冊

ゴールドフィンチ1 作者: ドナ・タート,岡真知子 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2016/06/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る ゴールドフィンチ 1 作者: ドナ・タート 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: …

【書評】都甲幸治・他「世界の8大文学賞~受賞作から読み解く現代小説の今」(立東舎)-世界はこんなにも文学賞で溢れている

書店に行って、「さて、何か面白そうな本はないだろうか」と探すときに参考とする情報で、「○○賞受賞作!」とか「△△賞最終候補入り!」という帯の惹句で作品を選ぶことがある。日本でいえば芥川賞や直木賞が興味を引くし、海外文学ならばノーベル賞やブッカ…

【書評】ノヴァイオレット・ブラワヨ「あたらしい名前」(早川書房)-子どもたちの無邪気さというフィルターを通して描かれるジンバブエの現実。軽妙さが逆にその苛酷さを物語るような気がする。

ジンバブエは、アフリカ大陸の南部に位置する国である。周囲を南アフリカ、モザンビーク、ザンビア、ボツワナと隣接している。 私を含め、日本人の多くはジンバブエという国のことをほとんど知らない。私がジンバブエについて唯一知っていることは、数年前に…

【書評】アントニオ・G・イトゥルベ「アウシュヴィッツの図書係」(集英社)ー《アウシュヴィッツ》という絶望の中で、《本》という希望を守り続けた図書係の少女

アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所という場所と、そこで行われていた残虐非道な行為と囚われたユダヤ人たちの絶望の日々については、改めてここで説明する必要はないと思う。毎日、誰かが命を失う。残された人たちは常に「次は自分」という恐怖と絶望…

【書評】ボフミル・フラバル「厳重に監視された列車」(松籟社)-ナチス・ドイツ占領下のチェコ。とある駅を舞台に描かれる人間の本質

ボフミル・フラバルという作家の作品を読むのは、本書「厳重に監視された列車」が初めてだ。 厳重に監視された列車 (フラバル・コレクション) 作者: ボフミル・フラバル,飯島周 出版社/メーカー: 松籟社 発売日: 2012/09/14 メディア: 単行本(ソフトカバー…

【書評】ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「たったひとつの冴えたやりかた」(早川書房)-むかしむかし、遠い宇宙でひとりの少女が新しい命と出会った

人類が宇宙へと足を踏み出してから半世紀以上のときが過ぎた。 たったひとつの冴えたやりかた 改訳版 作者: ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア,浅倉久志 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2008/08/22 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 10人 クリ…

【書評】クラスナホルカイ・ラースロー「北は山、南は湖、西は道、東は川」(松籟社)-ハンガリー人作家を魅了した街・京都

京都という場所は、訪れる人を魅了する街だ。それは、私たち日本人だけではなく、世界から訪れる外国人観光客にとっても同様で、京都は国際的な観光都市でもある。 北は山、南は湖、西は道、東は川 作者: クラスナホルカイラースロー,Krasznahorkai L´aszl´o…

【書評】ラ・フォンテーヌ「ラ・フォンテーヌ寓話集」(洋洋社)-シンプルかつユーモアのある物語が教えてくれる人間の弱さと面白さ

「すべての道はローマに通ず」 ラ・フォンテーヌ寓話 作者: ラ・フォンテーヌ,ブーテ・ド・モンヴェル,大澤千加 出版社/メーカー: ロクリン社 発売日: 2016/04/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る この有名な言葉を残したのが、17世紀のフラン…

【書評】エトガル・ケレット「あの素晴らしき七年」(新潮社)-イスラエルに暮らす作家がユーモラスに描き出す日常と戦争の影

中東地域は、争いの絶えない地域であるが、イスラエルは間違いなくその中心にあって、争いの火種となっている場所だと思う。1948年に独立が宣言されて以降、第一次中東戦争が勃発し、第二次、第三次、第四次と周辺国との戦争を繰り広げてきた。1993年には、…

【書評】フェルディナント・フォン・シーラッハ「テロ」(東京創元社)-7万人の命を救うために164人を乗せた旅客機を撃墜した空軍少佐は英雄なのか罪人なのか

多数を救うために少数を犠牲にする行為は正義なのか? テロ 作者: フェルディナント・フォン・シーラッハ,酒寄進一 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2016/07/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る テロ 作者: フェルディナント・フォ…