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ガタガタ書評ブログ

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

【書評】リンド・ウォード「狂人の太鼓」(国書刊行会)ー120枚の木版画によって紡ぎ出される読者の想像力をかりたてる作品

狂人の太鼓 作者: リンドウォード,Lynd Ward 出版社/メーカー: 国書刊行会 発売日: 2002/10 メディア: 単行本 クリック: 8回 この商品を含むブログ (13件) を見る すべては1枚の木版画からはじまる。

【書評】文学ムック「たべるのがおそいVol.2」(書肆侃侃房)-待望の第2号発刊。今度の特集は「地図−共作の実験」と題する様々なコラボ企画。創作では大前粟生に注目だ

文学ムック たべるのがおそい vol.2 作者: 金原瑞人,石川美南,宮内悠介,円城塔,やくしまるえつこ,西崎憲,穂村弘,大前粟生,津村記久子,森見登美彦,四元康祐,今橋愛,岡野大嗣,瀬戸夏子,吉野裕之,倉本さおり,中野善夫,ヤンヴァイス,アンナカヴァン,阿部賢一 出…

【書評】鄭泳文「ある作為の世界」(書肆侃侃房)−あるがまま、見たままをただ書き綴る。ただそれだけが面白い

ある作為の世界 作者: 鄭泳文,奇廷修 出版社/メーカー: 書肆侃侃房 発売日: 2016/07/09 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 鄭泳文(チョン・ヨンムン)による本書「ある作為の世界」は、彼が大山文化財団という団体の支援を受け…

【書評】施川ユウキ「バーナード嬢曰く。(3)」(一迅社)-まさかのアニメ化で注目の「ド嬢と仲間たち」は今回も図書館で読書談義に花を咲かせる

バーナード嬢曰く。 3 (IDコミックス REXコミックス) 作者: 施川ユウキ 出版社/メーカー: 一迅社 発売日: 2016/10/27 メディア: コミック この商品を含むブログ (2件) を見る バーナード嬢曰く。: 3 (REXコミックス) 作者: 施川ユウキ 出版社/メーカー: 一迅…

【書評】ドナ・タート「ゴールドフィンチ(2)」(河出書房新書)−母を失った少年の前に、失踪中だった父が突然現れた。少年は、父に引き取られラスベガスで暮らすことになるのだが…

ゴールドフィンチ 2 作者: ドナ・タート 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2016/08/05 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る ゴールドフィンチ 2 作者: ドナ・タート,岡真知子 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2016/07/26 メディア:…

【書評】草彅洋平「作家と温泉」(河出書房新社)-♪いい湯だなぁ~、作家に温泉はよく似合う

ブックポート大崎ブライトタワー店で大好評開催中の「本が好き!#棚マルフェア」には、書評サイト「本が好き!」に参加しているレビュアーさんたちが熱烈推薦する本が並んでいる。ジャンルも多種多様で、「へぇ~、こんな本が出てたのか」とか「うわぁ~、こ…

【書評】ペーター・シュタム「誰もいないホテルで」(新潮社)-美しい文章(美しい翻訳)に癒やされる

小説にはいろいろなタイプがあって、プロットの妙で読者を引きつける作品もあれば、キャラクターの魅力や会話の面白さでページをグイグイと読み進めてしまう作品もある。 文章が美しい小説というのも、さまざまに存在する小説のタイプのひとつだと思う。書か…

【書評】ハラルト・ギルバース「オーディンの末裔」(集英社)-「ゲルマニア」の続編。ドイツの敗色濃厚な中、夫殺しの嫌疑を駆けられた友人を救うためにオッペンハイマーは奔走する

ハラルト・ギルバースのデビュー作「ゲルマニア」を読んだのは1年少し前、2015年8月のことだ。ナチス政権下のドイツでユダヤ人の元刑事オッペンハイマーが、ナチス将校フォーグラー大尉の命令で残忍な連続猟奇殺人事件の捜査に挑むという作品で、ユダヤ人と…

【書評】tupera tupera「パンダ銭湯」(絵本館)-あの愛くるしいパンダたちにこんな秘密があったなんて、そりゃもう徹子さんも驚くわよ!

パンダ銭湯 作者: tupera tupera 出版社/メーカー: 絵本館 発売日: 2013/08/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (76件) を見る パンダといえば黒柳徹子さんですよね! 黒柳徹子 - Wikipedia Wikipediaにある黒柳徹子さんに関する説明によれば、徹子さ…

【書評】阿部公彦/阿部賢一/楯岡求美/平山令二「世界の文豪の家」(エクスナレッジ)-あの名作はこの家で生まれた。環境が作品のベースとなり、傑作を生み出すのだと感じさせてくれる写真集

世界の文豪の家 作者: 阿部公彦,阿部賢一,楯岡求美,平山令二 出版社/メーカー: エクスナレッジ 発売日: 2016/09/01 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 紹介されている様々な文豪の家を見ていると、その作家が暮らした環境が作品…

【書評】ドナ・タート「ゴールドフィンチ(1)」(河出書房新社)-爆弾テロで母親を失った少年は、1枚の絵とともに波乱万丈の運命を生きる。大長編小説の幕開けとなる1冊

ゴールドフィンチ1 作者: ドナ・タート,岡真知子 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2016/06/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る ゴールドフィンチ 1 作者: ドナ・タート 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: …

【書評】海堂尊「ポーラースター ゲバラ覚醒」(文藝春秋)-全4部作になるという海堂尊版チェ・ゲバラ伝。第1弾は若かりしゲバラの南米縦断旅行記=モーターサイクル・ダイアリーズ

ポーラースター ゲバラ覚醒 作者: 海堂尊 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2016/06/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 今年(2016年)、安倍首相がキューバを訪問したときに、90歳になるフィデル・カストロと面会したというニュース…

【書評】北尾トロ、下関マグロ、竜超「町中華とはなんだ〜昭和の味を食べに行こう」(立東舎)-ラーメン、餃子、炒飯、カツ丼、オムライスにナポリタンも!?これぞ町の中華屋さん!

町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう (立東舎) 作者: 町中華探検隊,北尾トロ,下関マグロ,竜?超,清野とおる 出版社/メーカー: リットーミュージック 発売日: 2016/08/19 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (2件) を見る 町中華とは…

【書評】都甲幸治・他「世界の8大文学賞~受賞作から読み解く現代小説の今」(立東舎)-世界はこんなにも文学賞で溢れている

書店に行って、「さて、何か面白そうな本はないだろうか」と探すときに参考とする情報で、「○○賞受賞作!」とか「△△賞最終候補入り!」という帯の惹句で作品を選ぶことがある。日本でいえば芥川賞や直木賞が興味を引くし、海外文学ならばノーベル賞やブッカ…

【書評】布川郁司「『おそ松さん』の企画術-ヒットの秘密を解き明かす」(集英社)-人気アニメを仕掛けたプロデューサーによるヒット企画を生み出す方法論

「おそ松さん」の企画術 ヒットの秘密を解き明かす 作者: 布川郁司 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2016/07/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る 2015年10月から2016年3月まで、最近では珍しく半年にわたって放送され…

【書評】ノヴァイオレット・ブラワヨ「あたらしい名前」(早川書房)-子どもたちの無邪気さというフィルターを通して描かれるジンバブエの現実。軽妙さが逆にその苛酷さを物語るような気がする。

ジンバブエは、アフリカ大陸の南部に位置する国である。周囲を南アフリカ、モザンビーク、ザンビア、ボツワナと隣接している。 私を含め、日本人の多くはジンバブエという国のことをほとんど知らない。私がジンバブエについて唯一知っていることは、数年前に…

【書評】監修/小林豊和「イヌの看取りガイド」(エクスナレッジ)-大切な家族だから、最期までキチンと看取るのが飼い主の責任だと思う

お久しぶり!タカラ~ム家のアイドル・ラムよ! 4月の「世界で一番美しい犬の図鑑」以来だから、ちょうど5ヶ月ぶりね。みんな元気にしてた? s-taka130922.hatenablog.com アタシは、最近ちょっとお疲れ気味なの。今年の夏も毎日暑かったから、夏バテかしら?…

【書評】大竹聡「五〇年酒場へ行こう」(新潮社)-東京中を東へ西へ。老舗酒場で楽しく飲めば、今日も今日とて二日酔い

最近は、もっぱら家で飲んでいる。お酒のことだ。職場が、都内とはいってもちょっと辺鄙なところにあって、繁華街に出るのが面倒くさいというのが主な理由である。 それでも、月に2回くらい、仕事終わりに電車を乗り継いで飲みに行くことがある。私の場合は…

【書評】アントニオ・G・イトゥルベ「アウシュヴィッツの図書係」(集英社)ー《アウシュヴィッツ》という絶望の中で、《本》という希望を守り続けた図書係の少女

アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所という場所と、そこで行われていた残虐非道な行為と囚われたユダヤ人たちの絶望の日々については、改めてここで説明する必要はないと思う。毎日、誰かが命を失う。残された人たちは常に「次は自分」という恐怖と絶望…

【書評】隆慶一郎「影武者徳川家康(隆慶一郎全集2~5)」(新潮社)-関ヶ原の合戦で徳川家康は死んでいた。その後の人生を徳川家康として生きるとになった影武者の壮絶な戦いと生き様を描く

今年(2016年)の大河ドラマは三谷幸喜脚本による「真田丸」が放送されている。先日(9月4日)の放送では、真田昌幸、信之、信繁の親子が、豊臣方に与する昌幸、信繁と徳川方に与する信之とに袂を分かつことになった「犬伏の別れ」の場面が描かれた。 www.nh…

【書評】栗原康「村に火をつけ、白痴になれ-伊藤野枝伝」(岩波書店)-あまりに激しい伊藤野枝の28年にわたる短い戦いの人生

冒頭に、地元の郷土史家である大内士郎氏から聞いたというこんなエピソードが紹介されている。 およそ十数年前に、伊藤野枝の生まれ故郷である福岡県糸島郡今宿村(現在の福岡市西区)でテレビの取材があった。もちろん、伊藤野枝に関する取材だ。野枝と同世…

【書評】ボフミル・フラバル「厳重に監視された列車」(松籟社)-ナチス・ドイツ占領下のチェコ。とある駅を舞台に描かれる人間の本質

ボフミル・フラバルという作家の作品を読むのは、本書「厳重に監視された列車」が初めてだ。 厳重に監視された列車 (フラバル・コレクション) 作者: ボフミル・フラバル,飯島周 出版社/メーカー: 松籟社 発売日: 2012/09/14 メディア: 単行本(ソフトカバー…

【書評】石原慎太郎「天才」(幻冬舎)-金権政治の象徴か、不世出の政治家か。田中角栄と戦い続けた著者が描く天才政治家の実像

片手に扇子を持って顔をパタパタと仰ぎながら、ややふてぶてしく憎たらしい傲岸な雰囲気を醸しつつダミ声で一言「ま、このぉ~」 天才 (幻冬舎単行本) 作者: 石原慎太郎 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2016/01/21 メディア: Kindle版 この商品を含むブロ…

【書評】ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「たったひとつの冴えたやりかた」(早川書房)-むかしむかし、遠い宇宙でひとりの少女が新しい命と出会った

人類が宇宙へと足を踏み出してから半世紀以上のときが過ぎた。 たったひとつの冴えたやりかた 改訳版 作者: ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア,浅倉久志 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2008/08/22 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 10人 クリ…

【書評】クラスナホルカイ・ラースロー「北は山、南は湖、西は道、東は川」(松籟社)-ハンガリー人作家を魅了した街・京都

京都という場所は、訪れる人を魅了する街だ。それは、私たち日本人だけではなく、世界から訪れる外国人観光客にとっても同様で、京都は国際的な観光都市でもある。 北は山、南は湖、西は道、東は川 作者: クラスナホルカイラースロー,Krasznahorkai L´aszl´o…

【本が好き!】書評がつなぐ世界一周の旅。まさかの全世界制覇を達成!?

「本が好き!」というWebサイトがある。その名の通り、「本が好き!」な読書家たちが参加して、自分が読んだ面白い本についてのレビューを投稿し、他のレビュアーさんたちが「読んで楽しい」、「参考になる」などの投票をしたり、コメントを返したりして交流…

【書評】長嶋有「三の隣は五号室」(中央公論新社)-第一藤岡荘五号室、変な間取りのその部屋に住んだ歴代の住人たちそれぞれの交錯しない物語

インターネットでアパートやマンション、一戸建て住宅の間取り図の見るのが好きだ。別に、引っ越しを計画しているとかいうわけではない(既に持ち家だし)、単純に間取り図を見るのが好きなのだ。 三の隣は五号室 作者: 長嶋有 出版社/メーカー: 中央公論新…

【書評】池上彰「世界を救う7人の日本人 国際貢献の教科書」(日経BP社)-世界で活躍し、その国の人たちと未来のために貢献する日本人は私たちの誇りです

「いい質問ですね」のフレーズが2010年の流行語にも選ばれたジャーナリストの池上彰氏。その池上氏が世界で活躍する国際協力に従事する日本人に取材したのが本書である。テレビとはまた違うジャーナリスト池上彰の一面を垣間見せる1冊である。 世界を救う7人…

【書評】ラ・フォンテーヌ「ラ・フォンテーヌ寓話集」(洋洋社)-シンプルかつユーモアのある物語が教えてくれる人間の弱さと面白さ

「すべての道はローマに通ず」 ラ・フォンテーヌ寓話 作者: ラ・フォンテーヌ,ブーテ・ド・モンヴェル,大澤千加 出版社/メーカー: ロクリン社 発売日: 2016/04/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る この有名な言葉を残したのが、17世紀のフラン…

【書評】アレックス・ジョンソン「世界の不思議な図書館」(創元社)-本があって、人が集まれる場所になっている。それだけで図書館なのだ。

図書館をよく利用する。読みたい本はたくさんあるけれど、すべてを購入するわけでにはいかない(経済的にも、物理的にも)、そんなときは図書館がありがたい。 世界の不思議な図書館 作者: アレックス・ジョンソン,北川玲 出版社/メーカー: 創元社 発売日: 2…

【書評】リービ英雄他「コレクション戦争と文学~崩~9・11変容する戦争」(集英社)-9.11テロ以後の変容した戦争を描くアンソロジー

2001年9月11日、イスラム過激派の青年たちにハイジャックされた4機の航空機のうち3機がそれぞれ、ニューヨークのワールドトレードセンター北棟と南棟、ペンタゴンに激突した(1機は墜落)アメリカ同時多発テロ以降、戦争の形態は大きく様変わりした。 9・1…

【書評】エトガル・ケレット「あの素晴らしき七年」(新潮社)-イスラエルに暮らす作家がユーモラスに描き出す日常と戦争の影

中東地域は、争いの絶えない地域であるが、イスラエルは間違いなくその中心にあって、争いの火種となっている場所だと思う。1948年に独立が宣言されて以降、第一次中東戦争が勃発し、第二次、第三次、第四次と周辺国との戦争を繰り広げてきた。1993年には、…

【書評】フェルディナント・フォン・シーラッハ「テロ」(東京創元社)-7万人の命を救うために164人を乗せた旅客機を撃墜した空軍少佐は英雄なのか罪人なのか

多数を救うために少数を犠牲にする行為は正義なのか? テロ 作者: フェルディナント・フォン・シーラッハ,酒寄進一 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2016/07/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る テロ 作者: フェルディナント・フォ…

【書評】米澤穂信「真実の十メートル手前」(東京創元社)-ミステリーが苦手になってしまったのか、この作品にシンクロできなかった自分がいる

真実の10メートル手前 作者: 米澤穂信 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2015/12/21 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (2件) を見る 真実の10メートル手前 作者: 米澤穂信 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2015/12/21 メディア: 単行本 こ…

【書評】林典子「キルギスの誘拐結婚」(日経ナショナルジオグラフィック社)-花嫁を強引に誘拐し結婚してしまうというキルギスの驚くべき慣習

結婚というのは、男女が互いに出会い、好きになり、愛を育み、結ばれることであるはずだ。しかし、世界にはそういう常識では考えられないような風習、慣習というものがあって、私たちから見るとあまりに非常識と思えるようなことが平然と行われていたりする…

【書評】竹村真奈/小西七重「食品サンプル百貨店」(廣済堂)-とことんリアル!日本が世界に誇る食品サンプルの世界はここまでスゴイ!

家族でデパートにお買い物に来た日曜日。お昼の時間帯となって向かうは最上階のレストランフロア。和洋中なんでも揃うレストランの入口には、様々な料理のサンプルがショーケースに並んでいる。 食品サンプル百貨店 作者: 竹村真奈,小西七重 出版社/メーカー…

【書評】ウィリアム・カムクワンバ/ブライアン・ミーラー「風をつかまえた少年 14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった」(文藝春秋)-アフリカでもっとも貧しいといわれる国に住む少年が起こした奇跡

アフリカでももっとも貧しい国のひとつに数えられる国マラウイ。そんな貧国で起きた奇跡をその当人が記したのが本書である。 風をつかまえた少年 作者: ウィリアム・カムクワンバ,ブライアン・ミーラー,池上 彰(解説),田口 俊樹 出版社/メーカー: 文藝春秋…

【書評】アンヘル・エステバン/ステファニー・パニチェリ「絆と権力 ガルシア=マルケスとカストロ」(新潮社)-コロンビア生まれのノーベル賞作家とキューバ革命の指導者の友情

2015年7月。アメリカとキューバにそれぞれの大使館が開設されたことで、1961年以来続いてきた両国の国交断絶は解消された。これは、54年ぶりの出来事であり、歴史の1ページを開いた。今年(2016年3月)には、オバマ米大統領がキューバを訪問している。 絆と権…

【書評】泉麻人「東京ふつうの喫茶店」(平凡社)-スタバやタリーズでは味わえない佇まいと居心地。これぞ《ふつう》の喫茶店

喫茶店、好きですか? ※最近、この入りが気に入っている(笑) 東京ふつうの喫茶店 作者: 泉麻人 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2010/05/26 メディア: 単行本 クリック: 13回 この商品を含むブログ (7件) を見る 最近では、スターバックスやタリーズなど…

【書評】大野裕之「チャップリンとヒトラー メディアとイメージの世界大戦」(岩波書店)-「独裁者」という映画にこめられたチャップリンの想いが、様々な障壁を克服し、感動的なラストシーンへと結実した

兵士たちよ!けだものに身をゆだねてはならない!あなたちを軽蔑し、奴隷にし、生き方を統制し、何をして、何を考えて、どう感じるかまで指図する奴らに。彼らはあなたたちを猛訓練させ、食事まで規制し、家畜のように扱って、大砲の餌食にする!そんな血の…

【書評】アティーク・ラヒーミー「悲しみを聴く石」(白水社)-アフガニスタンに生まれフランスで作家となった著者によって描かれる静謐な物語

アフガニスタンは、長く激動の場所として歴史を刻んできた。少なくとも、私がアフガニスタンという国を知って以来、現在に至るまでアフガニスタンに関する平和的な話はほとんど聞いたことがない。 悲しみを聴く石 (EXLIBRIS) 作者: アティークラヒーミー,Ati…

【書評】上野敏彦「闘う純米酒 神亀ひこ孫物語」(平凡社)-本物の純米酒を作りたい!蔵人の情熱が生み出した《神亀》という名酒の物語

日本酒、好きですか? 新版 闘う純米酒 (平凡社ライブラリー) 作者: 上野敏彦 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2012/09/12 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る 私は、つい最近まであまり日本酒を飲んでいなかった。日本酒…

【書評】ジョージ・ソルト「ラーメンの語られざる歴史 世界的なラーメンブームは日本の政治危機から生まれた」(国書刊行会)-たかがラーメン、されどラーメン。日本の国民食となったラーメンの歴史を知るための1冊

ラーメン、好きですか? ラーメンの語られざる歴史 作者: ジョージソルト,George Solt,野下祥子 出版社/メーカー: 国書刊行会 発売日: 2015/09/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 日本中に、いわゆる「ラーメン専門店」は何軒くらいあ…

【書評】隆慶一郎「隆慶一郎全集6 鬼麿斬人剣」(新潮社)-不世出の名人と謳われた師匠・清麿が遺した不名誉な駄物を折り捨てる旅をする鬼麿の豪放磊落さが本書の最大の魅力であろう

鬼麿は庭で太刀を振っていた。十二年前の天保十三年(一八四二年)冬、鬼麿が初めて向う槌をとって師匠とともに鍛え上げた太刀だ。刃長三尺二寸五分、南北朝風の大太刀である。一般の大太刀の長さ(定寸)は二尺三寸だから異常ともいえる刃長である。身幅も…

【書評】夏目房之介「孫が読む漱石」(実業之日本社)-漱石没後100年。文豪の血をひくマンガコラムニストの著者が読む祖父の小説

今年(2016年)は、夏目漱石没後100年にあたるそうだ。 孫が読む漱石 (新潮文庫) 作者: 夏目房之介 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2009/03/02 メディア: 文庫 クリック: 7回 この商品を含むブログ (10件) を見る 孫が読む漱石 作者: 夏目房之介 出版社/メー…

【書評】ジュリー・オオツカ「屋根裏の仏さま」(新潮社)-今からおよそ100年前に海を渡った女性たちがいた。“写真花嫁”と呼ばれた女性たちの苦難の日々を描く秀作

明治から大正、昭和の初期までの間に、多くの日本人が太平洋を渡って、遠いアメリカへと移住したという。彼らは、言葉もよくわからない異国の地で、外国人(特にアジア人)であることによる差別に直面しながら、持ち前の勤勉さで少しずつ、その位置を確保し…

【書評】大崎梢「スクープのたまご」(文藝春秋)-スクープ合戦を繰り広げる週刊誌編集部に配属された女性記者が数々の修羅場を経験しながら事件記者として成長するお仕事小説

今年(2016年)に入って世間を騒然とさせるスクープを連発している週刊誌がある。 “センテンス・スプリング”こと「週刊文春」である。 スクープのたまご (文春e-book) 作者: 大崎梢 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2016/05/13 メディア: Kindle版 この商…

【書評】樫原辰郎「『痴人の愛』を歩く」(白水社)-谷崎が好きで好きで好きでたまらないからこそのマニアックな谷崎論を刮目して読め!

谷崎潤一郎は、昨年(2015年)に没後50年となり著作権保有期間が終了した。今年に入ってから青空文庫などにその作品が続々と公開され、誰もが気軽に読めるようになっている。 『痴人の愛』を歩く 作者: 樫原辰郎 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2016/03/12…

【書評】ヨハンナ・シュピリ「ヨハンナ・シュピリ初期作品集」(夏目書房新社)-「アルプスの少女ハイジ」原作者のデビュー作を含む初期の作品集

ヨハンナ・シュピリという作家をご存知だろうか。 ヨハンナ・シュピリ初期作品集 作家の名前は知らなくても、彼女の作品にはなじみがあると思う。 「アルプスの少女ハイジ」だ。私の年代だと、小説作品というよりは、テレビアニメの方がなじみ深い。最近では…

【書評】隆慶一郎「隆慶一郎全集7 かくれさと苦界行」(新潮社)-吉原vs.裏柳生、神君御免状を巡って繰り広げられる対立の決着はいかに?

デビュー作でもある前作「吉原御免状」の翌年に発表された続編が本書「かくれさと苦界行」である。 隆慶一郎全集第七巻 かくれさと苦界行 (第4回/全19巻) 作者: 隆慶一郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2009/12/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ…