ガタガタ書評ブログ

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

映画

【書評】横溝正史「獄門島」(角川書店)-“獄門島”という横溝正史のネーミングセンスに改めて感服でございます

獄門島 (角川文庫) 作者: 横溝正史 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング) 発売日: 1971/03/30 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 62回 この商品を含むブログ (117件) を見る 金田一耕助ファイル3 獄門島<金田一耕助ファイル> (角川文庫…

【書評】こうの史代「この世界の片隅に(全3巻)」(双葉社)-昔、戦争がありました。たくさんの人が亡くなりました。今、私たちは「この世界の片隅に」生きています

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス) 作者: こうの史代 出版社/メーカー: 双葉社 発売日: 2008/01/12 メディア: コミック 購入: 23人 クリック: 507回 この商品を含むブログ (283件) を見る この世界の片隅に 中 (アクションコミックス) 作者: こう…

【雑記】雑誌「東京人8月号 特集・特撮と東京」をパラパラと。そして「シン・ゴジラ」を観た話

しばらくブログを更新しないでいたら、あっという間に8月も終わりじゃないですか。前回の更新が8月14日だったので、ほぼ半月の間音信不通状態だったわけですね。ま、誰も心配してないですけど。 さて、しばらく更新できなかったのは、単純に「本を読み終わっ…

【書評】ボフミル・フラバル「厳重に監視された列車」(松籟社)-ナチス・ドイツ占領下のチェコ。とある駅を舞台に描かれる人間の本質

ボフミル・フラバルという作家の作品を読むのは、本書「厳重に監視された列車」が初めてだ。 厳重に監視された列車 (フラバル・コレクション) 作者: ボフミル・フラバル,飯島周 出版社/メーカー: 松籟社 発売日: 2012/09/14 メディア: 単行本(ソフトカバー…

【書評】大野裕之「チャップリンとヒトラー メディアとイメージの世界大戦」(岩波書店)-「独裁者」という映画にこめられたチャップリンの想いが、様々な障壁を克服し、感動的なラストシーンへと結実した

兵士たちよ!けだものに身をゆだねてはならない!あなたちを軽蔑し、奴隷にし、生き方を統制し、何をして、何を考えて、どう感じるかまで指図する奴らに。彼らはあなたたちを猛訓練させ、食事まで規制し、家畜のように扱って、大砲の餌食にする!そんな血の…

【書評】アティーク・ラヒーミー「悲しみを聴く石」(白水社)-アフガニスタンに生まれフランスで作家となった著者によって描かれる静謐な物語

アフガニスタンは、長く激動の場所として歴史を刻んできた。少なくとも、私がアフガニスタンという国を知って以来、現在に至るまでアフガニスタンに関する平和的な話はほとんど聞いたことがない。 悲しみを聴く石 (EXLIBRIS) 作者: アティークラヒーミー,Ati…

【映画評】トム・フーパー監督「リリーのすべて」ー世界ではじめて性転換手術を受けたリリー・エルベと彼女(彼)を支えた妻の物語

2月に日比谷のみゆき座で「キャロル」を観たときに、「リリーのすべて」の予告編をみた。 映画『リリーのすべて』予告編

【書評】パトリシア・ハイスミス「キャロル」(河出書房新社)−美しき年上の女性キャロルに魅せられた18歳の無垢な少女テレーズ。禁断の関係が生み出す美しき愛の形

このレビューを書いているのは、2016年2月29日であり、第88回アカデミー賞の授賞式が、ハリウッドで開催される日である。 www.wowow.co.jp パトリシア・ハイスミス「キャロル」を原作とした映画「キャロル」を映画館で鑑賞してきた。キャロルを演じるのは、2…

【書評】都甲幸治他「きっとあなたは、あの本が好き。~連想でつながる読書ガイド」(立東舎)-大好きな本について語り合うことの楽しさ

今、読書会がちょっとしたブームになっているらしい。本が大好きな人たちが集まって、ひとつの本について語り合ったり、テーマにそって話し合ったりするのだそうだ。うん、それは楽しそう。 オフラインでの読書会に限らず、ツイッター上でのやりとりや、「読…

戌井昭人「のろい男ー俳優・亀岡拓次」(文藝春秋)-安田顕主演で映画化!亀岡拓次をどう演じるのか楽しみだなぁ~

《名脇役》と呼ばれる役者がいる。 映画やテレビドラマで渋く脇を固める貴重なバイプレーヤー。その存在は主役の芝居を引き立てる。それでいて、その役者自身が目立つことはない。だけど、妙に存在感があって、つい気になってしまう存在なのである。 のろい…

脚本執筆に行き詰まった作家は、誰かの話を聞くことでひとつの映画を完成させた-ミランダ・ジュライ「あなたを選んでくれるもの」

ミランダ・ジュライは、映画監督であり、脚本家であり、女優であり、アーティストであり、作家である。最近では、スマホアプリを手掛けていて、「somebody」というちょっと風変わりなコミュニケーションアプリを手がけている。 wired.jp SOMEBODY - MIU MIU …

人間の暴力性を生々しく描くことで生み出される企みに満ちた世界観-アンソニー・バージェス「時計じかけのオレンジ」

アンソニー・バージェス「時計じかけのオレンジ」は、1962年にイギリスで発表された作品である。だが、小説としてよりは、1972年に公開されたスタンリー・キューブリック監督の映画の方が印象に深いかもしれない。 時計じかけのオレンジ 完全版 (ハヤカワepi…

やはりこれは映画を観ておかないといけないなぁ~-園子温「ラブ&ピース」

本当なら映画をキチンと観てからとレビューすべきなのだろうけれど、なかなか映画館に行く時間の取れないまま締め切りを迎えそうなので、涙を飲んで書籍のみでレビューします。 何の話かっていうと、園子温「ラブ&ピース」の話です。 ラブ&ピース 作者: 園…

【映画評】天才同士の火花を散らす強烈なセッションに震える-デミアン・チャゼル監督「セッション」

冒頭、カメラは薄暗い廊下をゆっくりと進んでいく。遠くから激しいビートを刻むドラムの音が聴こえてくる。シャッファー音楽学院の練習室で、若いジャズドラマーのアンドリュー・ネイマン(マイルズ・テラー)が一心不乱にドラムの練習をしているのだ。そこ…