タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

2014-10-05から1日間の記事一覧

粛清により命を落とした作家の不条理な世界-ダニイル・ハルムス「ハルムスの世界」

旧ソ連で秘かに創作活動を行い、粛清により命を落とした不遇の作家ダニイル・ハルムス。ゴルバチョフのペレストロイカによりソ連が崩壊したことで、陽の目を見ることになった彼の作品とその解説を収録した作品集である。 ハルムスは、1905年に生まれた。当時…

実験的文学の目指したところ-ジョルジュ・ペレック「煙滅」

本書は1969年に書かれたフランスの小説である。著者は、本書を執筆するにあたってある制約を課した。それは、フランス語で最も頻繁に使用される文字“e”を一切使用しないということ。フランス語において“e”を使わないということは、英語でいえば定冠詞である“…