表紙を開くと1枚の絵が眼に飛び込んでくる。カレル・ファブリティウス『ごしきひわ』(The Goldfinch,1654)と記されている。この物語の鍵となる重要な絵だ。
ドナ・タート「ゴールドフィンチ」は、2014年度ピュリッツァー賞を受賞した大長編小説である。35カ国で翻訳出版され、世界中で300万部を超えるベストセラーとなっているとのこと。日本語版は全4巻で、本書はその第1巻にあたる。
続きを読む今年(2016年)、安倍首相がキューバを訪問したときに、90歳になるフィデル・カストロと面会したというニュースがあった。フィデルの健康状態は、はっきりとは伝えられていないようだが、外国の要人を迎えられる程度には元気なのだろう。
フィデル・カストロは、1959年にキューバ革命を主導した若者のひとりだ。そのフィデルとともに革命の中心にいたのが、チェ・ゲバラである。フィデルが、キューバ革命以降、社会主義国家としてのキューバの国家運営に専念してきたのに対して、ゲバラは革命家としてコンゴやボリビアでの革命に身を投じ、最後はボリビアで捉えられれて処刑され、その生涯を閉じた。享年は39歳である。
その革命家チェ・ゲバラの生涯を、「チーム・バチスタの栄光」などの医療ミステリー作家海堂尊が全4部にわたる長編として描くという。その第1弾が、本書「ポーラースター ゲバラ覚醒」である。
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中学生から高校生くらいの頃、まぁ今からザッと30年以上も前のことだが、我が家ではよく“出前”を頼んでいた。だいたい月に1~2回くらいか多くて3回くらいのときもあったかもしれない。父親の給料日直後なら奮発してお寿司。それ以外は、中華が定番だった、というか中華しか選択肢がなかった。十代中盤くらいの年代は、とにかく無尽蔵に飯が食える年代でもある。いったいその量がどの胃袋に収まったんだっていうくらい、食っても食ってもまだ食えた。そんな食欲のかたまりだった私が決まって注文したのが、チャーシューメンにカツ丼という組み合わせ。今から考えると想像しただけで胸焼けするが、あの頃はそれくらいは平気だったのだ。
続きを読むアーネスト・ヘミングウェイ「老人と海」は、今回読んだ光文社古典新訳文庫版で170ページにも満たない短い作品なのだが、読むほどに味わいを増すような深い作品である。
今回、書評サイト「本が好き!」の掲示板企画「祝☆創刊10周年!本が好き!光文社古典新訳文庫祭!!」に乗っかろうと思って、数ある光文社古典新訳文庫のラインナップから本書を選んだ。理由としては単純に「短いから」なのだが、読み終わってみれば、「この本を読んでよかった」と感じている。
知らない人はほとんどないと思われるが、念のため「老人と海」のストーリーを紹介しておこう。
続きを読む書店に行って、「さて、何か面白そうな本はないだろうか」と探すときに参考とする情報で、「○○賞受賞作!」とか「△△賞最終候補入り!」という帯の惹句で作品を選ぶことがある。日本でいえば芥川賞や直木賞が興味を引くし、海外文学ならばノーベル賞やブッカー賞が有名だろう。
世界の8大文学賞 受賞作から読み解く現代小説の今 (立東舎)
世界の8大文学賞 受賞作から読み解く現代小説の今 (立東舎)
本書「世界の8大文学賞」は、ジュノ・ディアス「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」などの英米文学翻訳家である都甲幸治氏を中心に、翻訳家、書評家、作家の諸氏が、世界に名だたる文学賞とその受賞作家や受賞作品について語り合う鼎談集である。
続きを読む本好きににはたまらない年に1度のお楽しみイベント「東京国際ブックフェア」が、今年(2016年)も開催されましたね!
今年で第23回となるブックフェア。会場は恒例の東京ビックサイトですが、開催期間が昨年までの7月初旬から9月に変更となりまして、9月23日(金)~25日(日)の3日間で行われました。もちろん、私は今年も参加してきましたよ!
そもそも「東京国際ブックフェア」って?
今年で23回目ともなると、もはや知らない人はいないんではないかと思うのですが、本に興味がない方々には基本的に縁のないイベントであろうと思いますので、簡単に説明しておきますね。
こちらは、「第23回東京国際ブックフェア」の公式サイトです。
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